病弱少女は八乙女楽の想い人で、逢坂壮五の妹です！！２ (ページ26)

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魔法使いと大きなうさぎページ26

「それで、どう会うんだ？待ち合わせするなって！」
楽が、ホテルの部屋で肩を怒らせて言う。
「僕がエスコートする。あの子はね、人ごみ弱いんだ。だから、普通のお祭りは初めて。楽しそうだし、普段はどうってことないから、忘れそうになるけど、Aは身体が弱いから」
「悪い」
「大丈夫だよ。あの子を楽しませさえしていれば」
これは本当。あの子は、陸と違って、天気とか気圧はそんなに注意しなくていい。けど、代わりに、誰よりも気をつけないといけないところがあるんだ。
ーもしできたらさ、天君。君と陸君で、Aちゃんをー
いつか、Aの家族って言ってた人とした約束を思い出す。
ーずっと笑顔でいさせてくれ。僕の可愛い、めいっこを。

「あの子が君とのデート中、逢坂じゃない、病弱でもない、普通の女の子になれる魔法をかけてあげる。そしたら、王子様のもとに送ってあげるよ」
「かぼちゃの馬車も一緒かい、天？」
「１２時の鐘は鳴らさないでくれよ、頼むから」
「それを決めるのは、悪いけど僕じゃない。
あの子が悲しくなれば、魔法は解けてしまう。僕が、どれだけ願っても、舞踏会は終わらなきゃいけない。だから、楽。任せたよ。僕の可愛い妹を」陸と、同じぐらいに大切な
初恋相手を。
いつも通り、楽は不敵に笑って応えてくれた。
「あぁ、任せてくれ。サンキューな、天も、龍も。明日は、あいつも含めた４人で、醒めない夢を一緒に、だ！」

昨日のやり取りを思い出しながら、零亜さんからの連絡通り、車から降りて辺りを見回したあの子の後ろに行く。小さい頃は、怖くて、できなかったこと、君の目を後ろからふさいで、優しく囁いた。
「だーれだ？」
『てーにぃ？』
何も言わずに少しだけ目を閉じた。
陸、ごめん。こんなこと頼む資格ないって、分かってはいるんだ。けど、勇気を貸して。ちゃんと、なれるように。
「そうだよ。王子様のところまで、ご案内に参りました、お姫さま？」
この子を昔のように笑顔にできる、魔法使いに。

「あれ・・・Aねぇと、天にぃ？」
「七瀬さん、どうしたんです？あれはー」
「ねぇ、一織。これ、壮五さん、呼んだ方がいいかな？」
「いぇ、あのお二人はそういう関係ではないと思いますけど。私も、こういう面は経験ないですし」
「一織ー！おっさんが射的で、でっかいロップちゃんとってさー！！俺、持てないからもらってくれよー！」
「あ、はい。あの、兄さん！ご相談が」