約束と、夏祭り ページ23
なんで、この人はこんな優しいんだろうね。
さっきとは違って嬉しさで泣きそうになるのをこらえる。
『うん。考えとく。ありがと、楽。約束ね、夏祭り。楽しみにしてる』
そう言って、笑った。
壮五side
思いがけずあの子と会えたから、僕はもちろん、みんなも気分が良くて、撮影は順調に進んだ。
波打ち際なんかでAと遊ぶ日は来ないと思ってたけど、あの子に失礼だったね。
久々に話でもしようかなってなぜか思った。僕もハイになってたかな。あの子の部屋に近づくと、楽しげな声が響いてきた。
『夏祭り、楽しみにしてる！』
中にいるの、零亜だろうか？僕らも、PV撮影終了日にお祭りがあるから、みんなで行こうって話してた。あれ、でも、零亜はさっき、部屋にいたのに。確かめようとドアに手をかけると、
「あ、いた！！壮五さん！！」
「陸くん。どうしたんだい？」
「環がホテルの食べ放題でテンション上がっちゃって。すごい食べてて面白いんです！一緒に観に行きませんか？」
「そうだね。全く、環君ったら」
「あはは！壮五さん、本当にお母さんみたいだ！」
悪気なく陸君が笑う。それ、マネージャーにも言われたよ、なんて、僕も彼につられて笑いながら返す頃には、Aの部屋は遠ざかっていた。
大和side
「大和さん！壮五さん、連れてきましたよ！」
「おー、陸。お疲れさん。バイキング、行ったことある？」「無いです！一織、どうするんだ？「この大皿から、自分が食べたいものを取るんです。「好きなだけ取っていいの？！「常識の範囲で。四葉さんより少なければセーフです」「ダメじゃないか、環くん！こんなに・・・「わーってる！そーちゃんも、ホラ。ちゃんと食えよ。皿何も無いじゃん。「君が食べすぎるからだろう！？今来たばかりだよ！「壮五、落ち着け。ほら、環もペース落とせ！すいません、こいつ、伸び盛りの動き盛りで、腹の減り具合も尋常じゃなくて！」
「さすがです、兄さん」「イチ、お前さん、本当にミツ好きだな。お前ら年少組は食っとけよ。お兄さんは、ビール飲んでっから。ナギ、ほら。アイス持って来てやったぞ」
「thanks、ヤマト。流氷はありますか？「ない」
なんて、下らないやりとりをしながらも、妹分のことが少し気がかりだ。人ごみ、苦手なくせに。ソウもメッゾとして苦労たまってるはずなのに平気そうにしてる。本当、
「キョウダイってのは大変だな」
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作者名：アスト | 作者ホームページ：http://id11.fm-p.jp/545/05251357/
作成日時：2016年9月27日 18時
