再会と、意外な欠点 ページ21
ー逢坂としてのAに関しては、今度詳しく話す。とりあえず今は、この部屋に行け。
そう言われて、部屋番号を教えられた。一応、マスターキーも。
今、ドアの前にいる。ノックしようとする手が1万�圓里�もりつけられたぐらいに重い。龍ほどのトレーニングはしてないのに。
「いつ、運命の人に会ってもいいように、笑っていようよ。あ、でも、もう楽にはAちゃんがいるんだっけ？」
「バカ、親父に聞こえてねぇだろうな！？悪りぃ。まだ付き合えてねぇけど。会う前に聞きたかった。でも、そうだな。あいつの前では、笑っときたい」
ミューフェスの前に交わした龍とのやりとりを思い出して、笑顔をつくる。
「・・・A。俺だ。八乙女楽。話がしたい」
ノックの音が聞こえたら、楽の声がした。嫌われただろうね。嘘ついたから。なのに、
「怒ってはいない。ただ、話がしたいんだ。」
何を話すんだろう。怒っていないって、ウソだと思いたい。怒ってくれた方が私がラクだから。でも、嘘つきの声じゃない。
『いいよ、楽。でー』
言い終わる前に入って来られた。
楽side
いいって聞こえたから、ドアノブを回すと、開いた。中の様子は、
床一面の散らばったルーズリーフ。
ベッドメイクされていたはずのかけ布団は、ぐしゃぐしゃになっている。
まぁ、お世辞にも整っているとは言えない。
「あー、っと。強盗でも、はいったのか？」
『掃除、しようとしたら、こうなった・・・。
あんまり見ないで・・・がっかりした？』
掃除だけに対してじゃないのは、すぐ分かった。
たまたま座れそうだったので、あいつの横に座る。
「返事しなくてもいいから。話だけ聞いといてくれ」
うなずいて、背中合わせにするA。悪いことしたと思ってる時は、相手の顔、見にくいよな。
「がっかりはしてない。本当だ。ただ、怒ってる。
俺がお前に本当のこと、話してもらえないくらい頼りなかったってことに、な。
謝るなよ。俺たちがスポンサーに関わりすぎないようにって考えてくれたんだろ？」
『違う！私が、ただ、みんなと一緒にいたいから、ウソついた！私のエゴだよ、これは！』
「じゃあそれでいい。少なくとも、俺たちは、俺は、お前に一緒にいたいと思ってはもらえたんだから。
FSCの仕事、大変だっただろ。よく頑張ったなA」
途中からAを、後ろからだけど、抱きしめて頭をなでてやる。
「あんなに気ィ張って、疲れたな。ほら、何だって聞いてやるから。
全部、俺に教えろ、な？」
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作者名：アスト | 作者ホームページ：http://id11.fm-p.jp/545/05251357/
作成日時：2016年9月27日 18時
