電話と仕事 ページ2
ケーキも堪能して、4人でゆっくり話していたら、電話が鳴った。
「誰の？」
「『「ごめん、私(です)/俺だ」』」
一織は店の厨房、楽はテラスの隅。私はその反対方向へ向かう。
『もしもし。麗亜？』
〈お嬢。仕事です。壮司様から、今から送るリストの人材を引き抜けと〉
『五分待って』
「マネージャー、どうしました？」
〈一織さん、お仕事です。CMに起用したいって！〉
「すぐ出ます」
「どうしたんだよ」
〈ごめんなさいね、楽。監督が今から撮影したいんですって〉
「あぁ、あの人背景にこだわるもんな。分かったよ」
そして、天のところに戻った三人のセリフ内容は同じ。
「仕事があるので、先に出ます/出る」
『一織、初仕事じゃない！頑張ってね！楽も、無理しないで』
「お前もな。和泉弟も」
「ありがとうございます。お二人も。九条さん、そろそろオーブンの中のケーキが焼けるので、よければどうぞ」
「ん。ありがと。和泉一織、この業界で君の年ならナメてかかってくるやついると思うけど、耐えて。ちょっとした試験だから。背負ってるアイドリッシュセブンの名前を上げるも下げるも君ら一人一人次第。楽はいつも通り、全力を尽くして。ナメた真似しないで。Aは、無茶しないで」
『ありがとう、てーにぃ！いってきます』
「当たり前だろ？」
「ありがとうございます。あ、すいません。良ければ写真を」
「後で自撮りしたのをA経由で。今はステージの上じゃないからファンサービスしないよ？」
「構いません。重ね重ねありがとうございます」
「こちらこそ、ごちそうさま。美味しかった。また来る」
一織と天は仲良くなれたみたい。なんか、似てるんだよね。みんなで手を振りあって、店を出ると、麗亜の車が目の前に止まった。
父様からの仕事、たとえどれだけ嫌いだろうと、失敗は許されない。
さっきの楽しい夢の時間から目を覚ますため、麗亜から苦めのコーヒーを受け取って、飲めるだけ飲む。ノドの痛みと一緒に視界がぼやけて、こするとすぐキレイになった。
2人とも、てーにぃも、仕事頑張って。
私も、限界なんて無視して、完璧にこなさないといけない。
⁇side
「どうだ、アレは」
「今のところ、仕事の進みは順調です。一度も赤字を出していないという実績により、合併や吸収も希望殺到で」
「バカなやつらだ、アレもな。私には逆らえないくせに」
「少し気になることが。娘は隠せている気ですが、まだ甘い」
「・・・そうか。不利益になるなら、切り捨てる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アスト | 作者ホームページ：http://id11.fm-p.jp/545/05251357/
作成日時：2016年9月27日 18時
