海 ページ10
『イエーイ!!』
『おい! あんま暴れんな!!』
後ろに乗るAが万歳したことにより、自転車が左右にグラつく。それをなんとかバランスを保って踏ん張り、ペダルを漕いだ。
『おい、高杉。この自転車サドルが低すぎるぞ』
高杉と二人乗りをしているヅラは、見事に高杉に頭を叩かれる。
それを横目に映すが、俺の口からは自然と呆れのこもった溜め息が出てしまう。
『何でそれぞれ自転車乗らねーんだよ!』
『だって私とヅラのパンクしちゃってんだもん』
直しに行くの面倒くさい、とA俺の背中に寄りかかった。本当に自由気ままで猫みたいな女である。
『帰りはお前が漕げよ』
『そんなの無理に決まってんじゃん!』
ペダル重くて進まない、と愚痴を零す彼女を振り落としたい衝動に駆られた。
しかし仮にも女。降りたら頭でも叩けば良い
『じゃあ、帰りはヅラと二人乗りするよ』
『おーおー、そうしてくれ』
『俺が銀時後ろに乗っけんのか?』
高杉はそう言っては、無理だと吐き捨てる。
『何でだよ!』
『お前重いし』
高杉とは五キロくらいしか変わらないはずだ。たった五キロである。お米くらいの重さなのだが、さすがボンボンだと嘲笑してやった。
そんな俺を高杉は睨みつけ、ヅラに早く漕げと頭突きを食らわせる。
『到着!!』
わー、と叫びながら海へと走っていくA。相変わらずバカで、ガキみたいなところは本当に変わらない。
『A! 靴を脱げ!』
お前はオカンか、と言いたくなるのを我慢して俺と高杉は靴を脱いだ。
持ってきた水鉄砲やビーチボールで遊び、季節外の海を楽しむ。
『疲れたな』
『来年はスイカ割りしてー!』
それもいいな、なんて話していると、俺の頬に冷たい何かが当てられる。
驚いたために肩が跳ねたが、振り向けばAがニコリと微笑みながら立っていた。
『寒いかもだけど、アイス』
ほら、と苺ミルクの棒アイスを渡される
『自転車ご苦労さん』
『さんきゅ』
ヅラと高杉も、とAは渡していく。四人で波打ち際に並び、アイスを食べ始めた。
オレンジの夕陽は海に沈んで眩しく、思わず目を細める
しょうがねェ、帰りも漕いでやるか。
455人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時