風邪 ページ9
『バカは風邪ひかないと思ってたんだが……』
ひくんだな、とヅラはベッドで眠る高杉を見下ろす
『俺はバカじゃねーよ』
『まあまあ。ほら、お見舞い』
そう言って、私は先ほどコンビニで買ってきたものを渡した。高杉はそれをガサガサと音を立てながら漁り、溜め息を吐く。
『ロクなモンしかねーじゃねェか』
んまい棒、アポロチョコ、週刊誌と、皆それぞれ好き勝手選んだ物。誰かが何か良い物を買うだろうと、各々他人任せであった。
『どうせ家にあると思って』
『……まァな』
やはり人は弱ると恋しくなるというのは本当なのか、高杉はそれを隠そうと枕にうつ伏せた
そうして唸り声を漏らす
『俺はもうここで終わりだ。お前達に会えて……よかった……』
『はよ寝ろ』
風邪とともにその病も治してくれ、という願いも込めて彼を軽く叩く
『おい、テレビ見ていいか?』
『いいな! この時間は確か猫特集が……』
「そんなのつまんねーよ」と銀時はチャンネルを変えていった
『アンタ達ねえ、仮にも病人の前よ』
慎めと彼の手からリモコンを取り上げるが、私の目がテレビに釘付けになる
麦藁帽子に赤いシャツの彼がテレビいっぱいに映っているのだ
『ワンピの再放送じゃん!』
『お前……』
睨んでくる高杉に冗談だと笑い、私はリモコンをテレビ台の上に置いた。
『お腹空いた?』
『空いた』
『そう聞かれると、空いたな』
二人には聞いてない、と彼らをあしらって高杉に目線を戻す
『……空いた』
『ん、了解』
無駄に広いキッチンを借り、籠に入ってた桃を貰う。瑞々しくて、高いんだろうなあと味見してみた
うん、甘い。美味しすぎる
『ほら』
皿を二つ用意して、大きい方にはフォークを三つ、小柄な方にはフォークを一つだけ刺しておいた。高杉はベッドから起き上がり、私から皿を受け取る
『桃うま!』
『私の分!』
私も食べようとするも、既に皿の中は空っぽ
『銀時!』
一発叩いてやろうかとしたが、高杉に呼び止められる
『……ほら』
やるよ、と一つしか減ってない桃。要らないのか聞けば、もう腹一杯だと言われた
そういえば、小さい頃からこうして色々譲ってくれたな……
『病人はちゃんと食べなきゃダメ』
ほら、と押し返せば渋々受け取る。
そうして食べ始める彼に私は頷いた。
『そうだぞ、A。病人から飯を奪うとか鬼畜かよ』
『元はと言えば銀時のせいでしょうが!』
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ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時