変化 ページ6
『これ、借りてたやつ』
ありがとな、とCDの入った袋をAに返す。
『わざわざありがと。お茶でも飲んでく?』
同じ階の人に貰ったリンゴがあると言われ、誘われるまま家の中へ入った。
人ん家の匂いは大抵苦手だが、こいつの家はもう別荘のような……第二の我が家のような感じだった。
『……こうして見ると、俺らの私物多いな』
ゲームに漫画。銀時の英語のノートまで置いてある。小さめのカラー箪笥は、俺らの名前が打たれたテープが貼ってあり、その中には着替えが入っていた。
『テスト勉強とか、泊まり込みでするときもあるからね』
何かとここに着替えがあると便利だ。
台所の食器棚には四色の食器。Aはその中の薄紫色と桃色のマグカップを取り出す
『このリンゴ美味しい』
さすが原産地のだ、と噛み締める。器用に切られた兎の形をしたリンゴを、惜しげも無く俺は一口で食べた
『リンゴあるっていったらあの二人も来るかな』
『ヅラは来るだろうが……銀時は持ってこいって言うだろうな』
それは言えてるね、とケタケタ笑う。
何気なく思ったが、他の二人とは違い、俺達は、家族よりもこの四人で一緒にいる。
その中でも、俺とAは二人、という時間も長い。
俺もAの両親も仕事人間だから、どちらかの家に入り浸り、共にご飯を食べたりも小さい頃はしょっちゅうしていた
『晋助、あのさー……』
二人っきりの時は、彼女は俺を下の名前で呼ぶことがある。しかし、あの二人と共にいる時は合わせているのか俺を苗字で呼ぶ。
特にそれに対し、俺は何も咎めなかった。
『……なわけ。って、聞いてた?』
相槌だけをテキトーにうっていたため、聞いてない、と正直に言う。すると直ぐに頬を膨らませた。
『おい、聞けよ』
くだらない話だけど、と床に寝転ぶ。黙って俺は、ソファに乗せてあるクッションを手渡した。
Aはそれを頭に引いて、俺を見つめてくる。
『なんだよ』
『いや、幼馴染みだなって実感してた』
きめェ、見んなともう一個あるクッションを顔面に投げつける。酷い、と嘆いたAはそれを胸に抱きしめた。
『あーあ、小さい頃の晋助はさァ……いや、変わんないか』
「昔っから、態度も背も」と付け足してはニヤニヤと笑った。
『伸びてるに決まってんだろ』
軽く頭を叩いてコーヒーをすする。昔より上手くなった煎れ方。性格も何も変わってねェが、変わったこともある
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ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時