果実 2 ページ38
『この気持ちが青く実ったまま、何もせずにただ枯れ捨てるのを待ちたくねェ』
「これが俺の、後悔しない選択だ」
……そうはっきりと言った高杉の目は、真剣みを帯びていた。だからこそ俺は簡単に物が言えず、黙って高杉が話す続きを待つ。
『初めて話した日が、何月の何処でかも思い出せないくらい、俺はあいつと過ごした。その中で、いつ俺がAを好きになったと思う?』
『……分からん。最近ではなさそうだな』
当たり、と言うようにひとつ首肯く。幼稚園の頃からの付き合いである二人だが、十何年の内のどこで、自分の気持ちに高杉は気付いたのだろうか。
『ガキの時は護りたいとか稚拙な言葉で表せるような感情ばかり抱いていたが、中学でようやくその想いが他とは違うことに気付いた』
『いつかなんて、俺にも分かんねェ』
ふっと自嘲気味に高杉は笑うが、俺には腑に落ちないことがある。
『……それなら沖田と付き合っていた時に、なぜ何も思ってないような顔をしていたんだ』
『Aには悪いが、直ぐに別れると思ったからだ』
その結果、高杉の思惑通り数ヶ月で別れた。そこまで予想がついていたのにも関わらず、A……そして沖田に何も助言をしなかったのは別れさせたかったからなのか。
『貴様……』
『恨んでもいいぞ。Aにチクリたきゃチクればいい』
俺がそんなことしないのもお見通しという訳なのにも腹が立つ。
『だが俺はAを泣かせない。考えてみろ、今までに泣かせた事があったか?』
……確かにいつだって高杉は泣かせるよりも慰めていた。悔しいが、これは事実である。
しかしいつまでも余裕綽々で居られると思ったら大間違えだ。
『お前なら納得してやらん事もない!』
俺の吐き捨てた言葉に喉を鳴らして笑う本当は余裕なんてないくせにと胸の中で悪態をつき、踵を返して廊下を歩く。
泣かせたら、直ぐに斬り殺してやるつもりである。
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ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時