祝福 ページ32
『好きなんだけど』
いつになく真面目な彼の顔は、どうしても戸惑ってしまう。普段は土方くんを弄ったりして、こんなに彼に見つめられたことはなかったのかもしれない。
『冗談?』
こう言わないと、本当に信じてしまいそうだ。しかし彼はもう一度、私に好きだと言った。
丸い目で私を真っ直ぐに映すから、信じていいんだろう。それでも、かなり有り得ないって思ってる。
『付き合えよ』
『私でいいわけ?』
『お前がいい』
一歩、一歩と距離を縮めて私の名前を呼ぶ。
『私も、総悟がいい』
どうして彼がいいのか、その時は言葉にできなかった。でも直感で、私は彼を選んだ。
しかしそれは、間違っていたようで正解だったのかもしれない。
付き合っていたことを、後悔したことはなかった。告白された日は私の人生の中の僥倖の一つだっただろう。
『私、彼氏できた』
読んでる雑誌のページをめくりながら、3人に報告するも、彼らはいつも通りテキトーに相槌を打ったにも関わらず、その刹那驚きの声を上げる。
『誰だよ』
『総悟』
銀時はすぐさま騙されている、とゲラゲラ笑った。それにムカついて、これ以上は何も言わない。
ヅラは良かったな、と言ってくれたが、高杉は興味がないのか何も言及して来なかった。
『……というわけで、明日は総悟と帰るね』
『気を付けて帰るんだぞ』
『うん、ありがと』
銀時は何かを言いたげに口を開けたり閉じたりしているも結局言わないのか、座り直して漫画を読み続けてしまう。
『ねえ、高杉』
『あ?』
『……晋助は、何も言わないの?』
無言。勝手にしろ、という意味か。どうしても少しだけそれが寂しく感じる。ヅラはともかく、晋助は一番に祝福してくれると思ったからだ。
『……お前はワガママだから、沖田を困らせんなよ』
『うん、分かってる』
これが彼なりの、祝福の仕方だった。
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ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時