タイプ 1 ページ26
『よ!』
坂本くんと一対一で話すことは、滅多にない。いつも三人の誰かと混じって話していた。でも私は彼が嫌いでも苦手なわけでもなく、どこかあの三人とは近い匂いを感じている。
『どうしたの?』
『特別用があるっちゅーわけじゃないが、ちと聞きたいことがあるんじゃ』
「なに?」と彼の声を横に聞きながらロッカーから教科書を取り出す。私が閉めたのを機に、彼は話し始めた。
『好きなタイプは?』
『え?』
聞きたいことはそれか、と聞き返すが彼は大きく頷く。呆気に取られながらも、私は感心してしまうのだ。
こうやっていきなり人のペースを乱して自分の波に取り込んじゃうところが似ているのである。
『うーん、優しい人かな』
『んじゃあ、沖田は優しかったがか?』
『優しいよ』
意外、と言いたげな顔を見せるが彼は何を考えているのか読みにくい。単純そうに見えて腹の中では何を思っているのか分からないなんて晋助そっくりだな。
『優しいなら、ヅラか』
『ヅラがどうしたの?』
こっちの話だと誤魔化され、次は顔と聞かれる。
『顔? うーん、キリッとしてる人がいいね』
『ほいたら高杉か……』
さっきから何を言ってるの、と聞いてもまた答えてくれない。質問はもう終わりかと思い教室に入ろうとすれば、これが最後だと引き止められてしまう。
『これで最後じゃ! 身長は?』
『そりゃあ、高い方がいいよね』
『……金時か』
坂本くんが私の好みを聞いてどうしたいのか分からないが、腕を組みながら悩んでいるようだ。
彼からの説明を待っていれば、それを諭した彼は手の平を軽快に叩く。
『こうなったら聞いた方が早いぜよ!
Aちゃんはヅラと高杉と金時の中で付き合うなら誰を選ぶんじゃ!?』
『何その質問……』
まあまあとなだめられ、答えを迫られる。答えないと面倒臭そうなために悩む素振りを彼に見せた。
『なんだかんだでヅラは世話焼いてくれるし……でも高杉は金持ち……銀時のケーキは美味しいからな……』
一応形ばかりは真剣に考えているのに、選ぶ理由がそこかと驚かれる。
『そんなもんだよ。きっと向こうも、同じようなこと言うと思うよ』
都合よく鳴るチャイム。何かを言いたそうな坂本くんの背中を押して、教室に入らせた。
……まあ、もっと良いところがたくさんあるんだけどね。
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ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時