絆跡 ページ25
『早く早く!』
『まてって!」
A、と彼女の名前を呼ぶ。自分の背よりも高い虫取り網とカゴを首からぶら下げ、俺たちはなかなか来ないエレベーターを諦めて階段を駆け下りた。
『高すぎ、ヅラ! おまたせ!』
『よお』
『おはよう』
やっときたか、と網で地面を叩く。それが合図のように、俺たちは少し遠くの森林公園まで競争する。
走って走って風を感じ、大きく笑いながらはしゃいでいた。
『セミの声はきこえるが、目ひょうはいなさそうだな……』
『上のほうは高くて見えないね……』
背伸びをしても、届かない。首が痛くなるくらい上を見上げるが、目的の彼奴はいないようだ。
大きなツノを持つカブト虫。雌雄両方捕まえて子供を産ませようなんて計画もしていた。
『のぼってみようぜ!』
手近な枝に掴まり、足をかける。他の3人も隣りの木によじ登って探し始めた。
『こっちはいないー』
『おれんとこも』
Aも高杉もそう言って木から降りて行く。俺のところにもいなく降りようとしたが、左にある大きな木に存在を発見した。
『おい!となりにいるぞ!』
4人で登っても丈夫そうな木。それに俺たちは一斉に登り始めた。しかしあとちょっと、という所で俺とヅラの登っていた方の枝が折れる。
落ちる、そう思って痛みを覚悟したが、むしろ浮いているような感覚がした。
『2人とも、だいじょうぶ?』
『ちゃんとつかまれ』
高杉とAが、俺たちの腕を掴んでいる。
『おまえらもあぶねーぞ』
『へいき!』
絶対放さないからね、と笑ったA。高杉も、微かに笑っていた。その時二人を見た俺は、「あ、こいつらとは何かある」と思ったのだ。
その何かとはわからないが、恐らく切っても切れない縁のようなものだろう。
………まあ、結局仲良く4人で落ちたんだよなあ
腕にある傷を見て、久しぶりに思い出した記憶。確か高杉は足で、ヅラは手首。Aは手の甲だったか……。なかなか消えない傷が、仲間の証拠みたいになっていた。
今思えば、嫁入り前の身体に傷を付けちまったって後悔もある。願わくば、そんな傷を気にしない男と結婚して欲しい。
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ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時