代わり ページ22
『ごめんね、A』
折角の休日なのに、と松陽先生は苦笑いを見せる
『大丈夫ですよ』
『そうだぞ、松陽』
お前が言うな、と銀時に一喝し、彼の前にもお汁粉を置く。実は二人の部屋のエアコンとコタツが一気に壊れてしまったんだそうな
『銀時がコードを強く引き抜くから』
『松陽こそ、エアコンのスイッチ分かんなくてポチポチ押してたくせに』
不気味な笑みを浮かべて睨み合う二人を制し、目の前のお汁粉を食べようと提案する。
『うん、美味しい』
『ありがとうございます』
流石だといつも松陽先生は褒めてくれる。三人なんて、何も言わないで食べちゃうのだ。
『……三人はここによく来てるんですね』
ほら君のだよ、と銀時の置き忘れたノートを頭に乗っけた。
『でも昨日は高杉の家だったな』
忙しなく椀を掻き込み、私に空になったものを渡してくる。おかわりを御所望の彼に、大盛りでよそってあげた
『へえ……ですが君達』
嫌な予感。銀時もそう感じたのか二人で目配せをする
『勉強は捗ってますか?』
『も、もちろん』
ね、と銀時を見る。こっち見んなと言いたげな目で返されたがお前も道連れだ
『そ、そうだよ』
『そうですか! 私の杞憂だったみたいですね……なら、明日のテストは大丈夫そうだ』
『テスト?』
『もちろん、聞いてましたよね? 明日は佐々木先生の授業で英語のテストをするって』
ちゃんと伝えましたよ、と黒く笑う顔。彼がこの顔をするときは、全てお見通しと言ってもいい。小さい頃からこうして、悪さをしては怒られていた
『銀時。ノートが綺麗に真っ白ですね』
新しいノートですか、とさっきのノートを捲っていく
『い、いや……』
冷や汗が止まらない。
誰が言うわけでもなく始まる勉強会。ひたすら、英文を書いていた。少しでも手を止めると、彼の目が怪しく光る。光らせている内は、休憩すらままならない。
『お疲れ様です』
もう遅いからこの辺にしようと言われ、時計を見るとだいぶ時間が経っていた。自分の集中力に驚きながらも机の上を片付ける。
『これ、さっき買ってきた物』
好きなのを選びなさいとアイスを渡され、一番好きな苺アイスを取りすぐさま包装を開けた。
『こうならないように、普段から勉強しておくこと』
いいですね、と私達の頭に手を置く。
優しく撫で回され、照れくさくなってしまう。銀時にとっても私にとっても彼が本当の親のような存在だった
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ハル(プロフ) - 夏目さん» そうですね、私が非表示にして気にしないことが一番だと思いました。ですが彼女が本当に私の作品を読んでくださった読者かどうかは測りかねます。アドバイスのコメント、どうもありがとうございました。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - なな天パさん» まず、素敵な作品と言っていただき、本当にありがとうございます。私が単に嫌になってキツイコメントを送ってしまったので、なな天パさんは気にしなくて大丈夫ですよ。閲覧してくださったみたいでとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月12日 11時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - 返信ありがとうございます!別のバージョンも楽しみにしているので、頑張ってください!応援してます。 (2017年8月11日 10時) (レス) id: fd0dc99ac9 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - どうしてもしつこいようでしたら非表示にしてみてはどうでしょうか?折角の読者にそういう対処を施すのは少々心が痛むこととは思いますが…。 (2017年8月11日 2時) (レス) id: 9cb724659b (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ミリアさん» ハルさん、すみません。嫌だったんです。貴方の素敵な作品でこんなコメをみるのが。ミリアさん、部外者の私が言うのはなんですが、あなたのコメをみると本当に不快になります。あなた、他の作者さんにも同様のコメしてますよね?そのコメ、本当にやめて下さい。 (2017年8月10日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年2月17日 17時