天使のようなひと【HQ】 (ページ31)

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13話・つまりどういうことだよ・日向side ページ31

閉め出された体育館前。

日向は、「セッターよりスパイカーの方がカッコイイ」と素直な気持ちを述べたばっかりに、鬼の形相の影山に胸倉を掴まれた。

影山がいうには、「セッターは支配者っぽくて１番かっこいい」「敵のブロック欺いてスパイカーの前の壁を切り開く、難しくてかっこよくて面白いのがセッター」らしい。

一番かっこいいかどうかは置いておいて、影山がどうしてもセッターをやりたいというのが日向にはすごくよく伝わった。

どうやら、あの自信満々の影山も「負けたらセッターはやらせない」というペナルティには少しばかり怯えているようだな、と日向は思った。

土曜日まで練習しようにも体育館は使えないなとがっかりしていたが、朝練は７時からという声が体育館から聞こえ、「明日、朝5時」と約束をする。

そのまま勢いよく踵を返して体育館前を後にしようとしたが、日向はかばんを忘れていま一つ格好がつかない。
慌てて取りに戻るとそこに夏目がいて、忘れていた鞄を日向の肩にかけてくれた。

『朝５時とか無茶言うよなぁ２人とも。いったい何時起きよ？』

夏目は呆れたような笑いを含んだ声で言った。

彼は最初からずっと機嫌よく穏やかだった。澤村に入部届を返せと迫ったときはびっくりしたけれど……と思い出してから「あ！」と日向は声に出す。

『え？なに急に』彼は急に大きな声を出した日向にぎょっとして後退りをした。

「夏目はなんでキャプテンに入部届返してなんて言ったの？」

日向は夏目の瞳をまっすぐに見つめた。ちらりと考え事をするように逸らされた杏子色の瞳は、すぐにもとに戻ってきて日向を見つめ返した。

『なんでって……理由は２つある。１つは、２人と同じ状況に身をおきたいと思ったから』

同じ状況に身を置く……？
日向は首を傾げた。