《読み切り/AS》シャッター迷えど刻めよ時間 (ページ18)

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five/キャラメル風味ページ18

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あの日からずっと町中で人にこう頼まれる度、全てこの一言で返してきた。

そしてすぐに頼まれた人の前から姿を消す。

「はぁっ...」

だから彼女たちから200mほど走って逃げ、もういいだろうと立ち止まった矢先、トントンと肩を叩かれたときには本当にびっくりした。

恐る恐る振り返るとそこにいたのはなんとさっきまで時計屋にいた彼だった。

「ショウちゃん....!?」

「マサキくん、俺のこと見てたでしょ...?」

驚きの声をあげる俺にショウちゃんはイタズラが成功した悪戯っ子のように笑いながらそう言った。

少しだけ下から覗き込むように見つめられて半歩ほど後ろに下がる。

気づかれてたんだ。

「どうして撮ってあげなかったの...?」

悪気のない、純粋なその瞳に、なんだか自分がすごい悪いことをしたような気持ちになる。

「どうしてって....」

曇りのないガラス玉みたいな彼の瞳には、困った顔をした俺が映っていた。

俺がよほど困った顔をしていたのか、彼は俺からあからさまに目をそらして、''あ、修理やりかけだった!''と慌てたような顔をする。

「じゃあマサキくん、またね！」

何事もなかったようにそう言って笑った彼は、時計屋までの道を駆け戻っていった。

修理途中だったなんて、あんなに分かりやすい嘘までつかせてしまった…。

俺はいったい何がしたいんだろう。

彼の瞳に映り込んでいた困り顔の俺が、彼が去った後もどこかから問いかけていた。

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