3年生はあと一人。 ページ17
あの後、音で起きた先生方が何事かと様子を見に来た。
私が慌てて何でもないと伝えると、疑わしげな視線を向けてきたが、ただ一人、シナ先生だけは心配そうな目をしていた。
それでも何も聞かなかったのは、私を気遣ってくれたのだろう。
「おばちゃーん、野菜炒め定食ー」
食堂に、生徒達の賑やかな声が響く。
始めこそ騒がしかったものの、今ではこの喧騒が心地よく感じる。
「あれ？Aさん、今日は紹介文書かないんですね。」
注文しにきた孫兵くんが、奥で皿洗いをする私に問いかけてきた。
振り返ると、そこには3年生6名が並んでいる。
私は手を止めて、こくりと頷きながら近くに寄っていった。
「寝坊でもしたんですか？」
隣にいた三之助くんが驚いたような顔で尋ねる。
まあ、そんなところかな。
紹介文に使ってないため、手元にある黒板にそう書いて見せた。
嘘だ。
本当は、今朝の件があったからどうしても書く気にならなかった。
「へえー、意外ですね。
寝坊しそうに見えないのに。」
じゃあ何にしよっかな、と呟きながらメニューを見る数馬くんに、苦笑いをした。
しかし、久しく動かしていない表情筋はぴくぴくと引きつるだけだ。
どんだけ顔の筋肉硬いんだよ。
自分でもびっくりした。
「Aさん、あれ見てください。
Aさんの紹介文ないから、不破先輩が久々に何にするか迷ってます。」
いたずらっ子のように笑う藤内くんに従い、指差す先へ目を向けると、そこにはメニューの前でうんうんと唸る雷蔵くんがいた。
「多分、四半刻(約30分)は迷ってますよ。」
迷いすぎだろ。
私のせいではないのだが、雷蔵くんには少し申し訳なくなった。
Aさんの紹介したもの食べようと思ったのに、何にしよう。
そう呟き悩む3年生だが、一人だけ、この場からさっさと立ち去りたいとでも言うかのように注文しする人がいた。
「俺さわらの香味焼き定食」
「…おい作兵衛、無愛想だぞ。
失礼じゃないか。」
左門くんが注意してくれるが、本人はぷいっと他を向いて聞こえないふりをする。
私がお盆を渡すと、すぐに席に歩いていった。
それでも、小さな声で「ありがとうございます」と言ったのは、この子が普段礼儀を重んじる子だからだろう。
他の5人は困ったような顔をして謝ってきたが、あの子は悪くないんだから謝らなくていい、と返事をした。
その後5人は各々違うメニューを頼み、3年生で固まって席についた。
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河鳴 - ルビーさん» はじめまして！いつも楽しんでるなんて素晴らしいお言葉、ありがとうございます！！もう少しで終わるはずなので、今後ともよろしくお願いします！ (2015年5月7日 5時) (
レス) id: 16ae572954 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - はじめまして！！ いつも楽しんで読ませていただいています！！(`・∀・´) 時間がなくてあまりコメントなどで応援？できませんが、これからも楽しみにして待っています！(´∀`*) (2015年5月6日 23時) (レス) id: 00f0791501 (このIDを非表示/違反報告)
河鳴 - 蜻蛉さん» 面白いなんて…ありがとうございます！読者様をもっと楽しませることができるよう精一杯頑張ります！ (2015年5月5日 15時) (レス) id: 16ae572954 (このIDを非表示/違反報告)
蜻蛉 - とても面白いです！いつも続きが気になっています！これからも頑張ってください！！ (2015年5月4日 22時) (レス) id: fbf176a846 (このIDを非表示/違反報告)
河鳴 - タスクさん» 終始にこにこしてる留さんってぞわぞわしません？夢主ちゃんはちょっと性格悪めにしてますw口に出ない分、心の中では言いたい放題なのでww (2015年5月2日 23時) (レス) id: 16ae572954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：河鳴 | 作成日時：2015年4月25日 14時
