●苦味９％ ページ11
転入試験から数日、晴れて私は3年A組の生徒に成れた。
今日はと云うと、転校初日。変な時期の転校だが、適当に嘘をついておけば善いだろう。
「えー、転校生の伊藤だ。伊藤、挨拶」
「はい。い、伊藤Aです、宜しくお願いします」
転入試験の時の様に、緊張気味の態度を取る。そして、辿々しくお辞儀する。周りからはチラホラと拍手の音が。
噛んだの？勿論、態とよ。でも、テンプレなぶりっ子の言い方じゃないから大丈夫な筈よ。
さーて、先生が彼に絡める様にして呉れないかしら。
「急な転校で色々困る事がある。だから、何かあったら助けてやってくれ。おい、浅野」
先生に呼ばれた"浅野君"は、はい、と云い乍ら立ち上がった。
「しばらくはお前が伊藤を手助けしてやってくれ」
「もちろんです。よろしくね、伊藤さん」
「は、はいっ。宜しくお願いしますっ」
ナイス、先生。之で心置き無く、
挨拶が終われば、席に案内される。周りの生徒達と一言二言交わし、授業の準備をする。
授業の前にトイレにでも行こうと思ったのだが、此れが問題だった。次が移動教室なのだ。
教室には誰も居らず、私一人。教室の場所が判らない私は如何したものかと、頭を抱えていた。
そんな時だった。
「伊藤さん」
浅野君が扉から姿を見せたのだ。
「あ、浅野君……」
「居ないからもう行ったのかと思った。場所、分からないよね？僕が案内するよ」
「有り難う。トイレから帰ったら誰も居なくて困ってたの」
教材は未だ届いていないので筆箱だけを持って教室から出た。浅野君の数歩後ろを歩き、ある程度の距離を保つ。
そんな私を不審に思ったのか、浅野君が振り向いて訊ねた。何で後ろを歩くのかな？、と。
「あ、ご免。癖みたいなもので……」
小走りで浅野君の横に並ぶ。
彼は癖とは何なのだろうと疑問に思っているだろう。実際の処、真っ赤な嘘だ。
大人しいが、少し謎めいた転校生。
そういった印象を植え付ける。
勿論、浅野君の意識を私に向ける為。上手く引っかかって呉れれば、之から事が進めやすく成るのだ。
まぁ、四つも下の餓鬼を操る位其処迄大変じゃないわ。
ねぇ、浅野君。私に惚れて下さいな♪
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バンビ(プロフ) - ちっぺさん» コメントありがとうございます!!そう言って頂けて、嬉しい限りです！表現の仕方面白くて思わず笑っちゃいましたww更新頑張ります！ (2017年5月17日 2時) (
レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - ちっぺさん» ありがとうございます！楽しみにして下さっている方がいるのが分かり、凄く嬉しいです！脱スランプになり早く更新するようにします！ (2017年5月16日 20時) (レス) id: 110a1a14b8 (このIDを非表示/違反報告)
ちっぺ(プロフ) - この小説とても好みで面白いです。更新がんばってください、更新されたらば私は舞い上がって馬の上でコサックダンスを踊り出してしまうかもしれないぐらい好きです(＾ω＾) (2017年5月16日 17時) (レス) id: 74c0eac0d3 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます!!そう言って下さり、嬉しい限りです！しかも応援まで…！これからも頑張ります！ (2017年4月10日 2時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - のんのさん» コメントありがとうございます!これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります! (2017年4月9日 22時) (レス) id: 12cd453bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲタク様 バンビ x他2人 | 作成日時：2017年3月30日 19時
