逆ハーは別に狙ってない！×6【東リベ】

聖夜 ページ44

クリスマス前夜


ひとりカフェで待つ


来客を知らせる鐘の音に持っていたカップを置いて目を向ける


千冬、稀咲、半間の3人が私に気づいて店員の案内を断って近づいてくる


鉄｢待たせたな｣


『別に』


某女優のような振る舞いで足を組みなおす


隣には稀咲が座り、目の前には千冬、その横に半間


タケミチはまだ来ていない


千｢タケミっちがまだ来てねぇんだけどなんか連絡来てる？｣


『心配しなくてもすぐ来るよ』


千冬に笑いかけながら再びカップに口をつける


今頃ひなちゃんにこれでもかと殴られて泣いているだろうタケミチに思わず笑みがこぼれる


2人のことはあまり心配していない


もし原作通り進まず、2人の復縁が出来なかったとしても、2人はきっと未来でまた再会する


悲しいほどに変わらない気持ちで


頑張れタケミチ


武｢遅れてゴメン！｣


私の言った通り、そう時間も掛からない内にタケミチは目を腫らしてカフェに入ってきた


お誕生日席と呼ばれるそこに座ったタケミチは自嘲気味に笑って私を見る


『大丈夫だよ。今の気持ちが変わらなければ。今は切りかえてねタケミっち』


その言葉と私の表情に安心したのか、締まらないが腫らした目で顔を強ばらせる


それからは稀咲から打倒大寿に必要な情報とそれに基づいた作戦を聞く


私たちはあくまで初めて聞く作戦のように真剣に相槌を打つ


カフェを出ながら最終確認を行い、解散


お互いの考えてることを悟られないよう早々に帰路に着く


自分に自信がある故に、詰めが甘い稀咲


私たちが本当の作戦を知ってるだなんて微塵も疑ってない


頭が良いとはいえ中学生だな


決して頭が切れる訳では無い私は経験で対抗するしかないけど


ただ原作通り、クリスマスが終わってくれることを祈るだけだ


そうして迎えた当日


雪が降り積もり、なんだかとても泣きたくなる朝だった


ふわふわとした気持ちのまま転生し幼少を過ごし


気づけば聖夜決戦


未だに現実味を帯びない


『私の中で....まだ他人事なのかな....』


他人事でいたくないから


そう思って首を突っ込み続けて、上手くいかなくて、何も変えられないでいるけど


『タケミっちやマイキー達にとって....なにか意味のある私でいられたらそれで良いか....』


壱番隊隊長


場地さんの特服


もう既に彼の匂いはしないことに寂しさを感じる


そっと抱きしめてから袖をゆっくり通す

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