逆ハーは別に狙ってない！！！【東リベ】

病院.5 ページ21

私たちがやった訳じゃない


だけど、私たちのせいで巻き込んだこともまた事実で


こんな世界とは無縁の女の子だったのに


もしこのまま目を覚まさなければ、この子の未来は空白のまま


目を覚ましたとしても、自分の眠っていた間の時間、世界は変わり果て、知らない世界に取り残された孤独を味わう


早く目を覚ましてくれるように祈ることしか私たちには出来ないのだ


マ｢頭なんて下げんなよケンチン、A。オレら悪くねーし｣


"てか何八つ当たりしてのこのおっさん"


そう続けるマイキー


原作で知ってたとしてもその言葉に少し苛立ちを覚える


そういう事じゃないんだよマイキー


彼女の父親と言い争おうとするマイキーの頭をドラケンが無理やり下げさせる


龍｢申し訳ありませんでした。全部オレらの責任です｣


全部自分たちの責任と言ったところで取れる責任なんて私たち子供にはない


ただ頭を下げて、愛美愛主を潰すことしかできない


お金を出したって、謝ったって、愛美愛主を潰したって、彼女の心は傷ついたままだし、ご両親も傷ついたまま


なんの意味もない


罵倒する父親の言葉を黙って聞く


男｢そこの女もな！娘と同じ女の癖に人の心はないのか！？お前が同じ目に合えば良いだろ！！なんでうちの娘なんだ！｣


マ｢てめぇっ....｣


『マイキーっ！』


父親の言葉にマイキーが再び喧嘩腰に起き上がろうとする


それを制止するように名前を呼べば頭を下げたまま黙った


一通り怒鳴って拳を握りしめたあと、涙を流す父親


男｢あんな可愛かった娘がこんな変わり果てた姿でっ｣


怒りを噛み締めるようにつぶやく


それを聞いて耐えていたであろう涙を流す母親


私には子供もいなかったし、こんな風に泣いてくれる両親もいないからその気持ち全てを理解することは出来ない


それが歯がゆくて、悔しかった


ご両親の姿が見えなくなるまでずっと頭を下げ続ける


龍｢"不良の世界"は不良の中だけで片付ける｣


ドラケンは諭すようにマイキーに言った


龍｢下げる頭は持ってなくてもいい。人を想う"心"は持て｣


マ｢ケンチンは優しいな....｣


消え入りそうな声で零す


マ｢ゴメン、ケンチン。オレ、ケンチンが隣にいてくれてよかった｣


そのままどのくらい頭を下げていたか、しばらくして同時に頭をあげる


マ｢Aもごめん。あんな言葉聞かせて｣


『気持ちわかるから。仕方ないよ！私は大丈夫！！』

病院.6→←病院.4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す