６３ …Oside ページ17
「失敗したなぁ…」
白い息が外気に触れて一瞬で
水蒸気が消えていく。
何本電車を見送ったんだろう。
それに乗りこむ人も俺に向けて
乗らないのみたいな訝しげな目で
見られたりして。
その度にニット帽を深く被って
グルグルに巻いたマフラーを鼻まで上げて。
あーカイロ、あったけぇな。持ってきて良かった。
持っていたカイロの他に数１０分前に開封したものも温まってきた。
簡易的なしきりのある待ち合い室は
外の気温と大して変わらないけど風は凌げる。
我慢できなくなって背中を丸めたままベンチに座る。
するとまた電車が入ってきてそちらに目を配る。
祈るような思いで見ていると、見知った顔が降車してきた。
「あの！」
声をかけると美咲さんは俺の顔をみて驚いていた。
「えっと…」
「大野です。翔くんの店で会った」
「あー！」
そう声をあげると美咲さんは柔らかく笑って頷いた。
「どうして、大野さんがここに？」
「えっと…。お、送りますよ、翔くんちまで」
「え？でも…」
「ほら、寒いでしょ？行きましょ」
半ば強引に彼女のスーツケースを手にしてすぐ
近くに駐車した軽トラへ運んで括りつけて固定する。
送り届ける車中で美咲さんから翔くんとの
慣れ染めを聞くことになる。
翔くんは本当に仕事を頑張っていた事。
美咲さんはそんな彼に惹かれた事、そして翔くんの告白
から始まった付き合い。仕事が充実するのと相反してすれ違
ってしまった想い、翔くんからの一言一句が責められてると
誤解したことで終焉を迎えた２人に関係。
それを聞いてるうちにはっきりと見えてきた自分の気持ち。
今、伝えずにいつ吐き出すんだって。
何時の間にか翔くんちの近くの坂の下までやってきた。
車を止めて、荷台のスーツケースのバンドを解いて彼女に渡した。
「有難うございました。すみません、ベラベラと」
美咲さんは会釈してくるりと向きを変えて背中を向ける。
「美咲さん！」
「はい？」
美咲さんに近づいて、地面に膝をついて頭を下げた。
「ちょっと、大野さん、何して！」
「ごめん、翔くんを連れて行かないでくれっ！
あなたが必要だって思うのと同じくらいに俺にも…俺たちにとっても
大事な人なんだ。。初めてなんだ、こんな気持ち…」
「大野さん…」
地面に頭を擦りながら涙が出てきてしまった。
「俺…、うまく言えないんだけど楽しくてワクワクして、絵とかアイディア
が浮かぶんだ、彼と居ると。必要なんだよ…っ」
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翔華(プロフ) - はるさん» はるさん、初めまして、こんにちは。コメント有難うございます！心が広い菩薩の様な智くんを書きたいかったのでそう言ってもらえて嬉しいです＾▽＾もう少しこのお話にお付き合い下さいね！幸せな2人が好きなので♪ (2018年3月29日 13時) (
レス) id: 37eca17cbd (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 翔華さん、こんにちは。更新ありがとうございます！なんて酷いことが！と思ったら智くんのなんて優しく大きいこと！離れた絵はくれてやる！って格好いいです！楽しみにしています。 (2018年3月28日 15時) (レス) id: 2e57ade7fe (このIDを非表示/違反報告)
翔華(プロフ) - satoshiikoさん» コメントありがとうございます！はい、前進あるのみ！ですね♪(*^^*)パワーいただきましたよ、ありがとうございます((o(^∇^)o))色々相談して縁のある会社に行ければなと考えてます！ (2018年2月7日 13時) (レス) id: 5a0dcd6872 (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - こんはまんは！ 就活、頑張ってください！ きっと翔華さんにとってベストな道が開けるはず。♪前進あるのみ〜♪ (2018年2月6日 21時) (レス) id: 6dba7c15f5 (このIDを非表示/違反報告)
翔華(プロフ) - ショウさん、コメント有難うございます！はい、やっと２人の気持ちが動きました＾＾ やっぱり甘いのが書きたいのでやっとという感じですね。。。これからも和んでもらえるように頑張りますね。有難うございました！ (2017年12月27日 19時) (レス) id: 37eca17cbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翔華
| 作成日時：2017年11月6日 13時
