第34話 出発前に�� ページ7
「あー、そっか。木野ちゃんたちはもう随分前からこうやって旅をしてるんだもんね」
「うん。こんなに長い間離れるなんて初めてだから、ちょっと心配だなあ」
たしかにこの先長い旅になるのかと思うと、ついさっきお母さんと顔を合わせてきた私ですらなんだか心配になってきてしまう。
ジェミニストームの一件があってから、彼らは今日までずっと旅をしてきたみたいだし……そう思う木野ちゃんの気持ちも物凄くわかる。
「あ、そういえば！」
すると、瞳子さんの側にいた春奈ちゃんが突然何かを思いついたように大声をあげた。彼女は母親にものを問う子のように無邪気な笑顔を浮かべながら、「瞳子監督のご両親ってどんな人たちなんですか？」なんてなんとも思いきったことを聞いている。
そんな春奈ちゃんの質問に、瞳子さんは一瞬だけ言いづらそうに言葉を詰まらせながらも淡々とそれに答えた。
「……母親は自分が子供の頃に死んだわ。父親は、暫く会ってない」
瞳子さんはすぐにまた口を噤んで、何事もなかったかのように窓の外に目線をそらす。気まずくなったのか春奈ちゃんはこちらのほうにそさくさとやってきて、「も、もしかして、いけないことを聞いちゃいましたかね？」と私たちに軽く耳打ちをした。
「うーん……あの口ぶりだと、お父さんのこと嫌いなんッスかねえ」
「か、壁山、そういうのは口にするもんじゃないって」
そんな空気を物ともせずに、怯むことなくものを言う壁山。私がそう言いながら急いで壁山の背中を叩くと、壁山は痛そうに背中をさすりながら「ちょ、力強すぎッスよ〜」と痛みを嘆いていた。……うん、ごめん。
静まり返ったみんなの空気がなんだか苦しくて、私は何か話題を探そうと彼らの姿をそれぞれ一瞥する。そして、私はあることに気がついた。
「あ、あれ？ そういえば、吹雪くんは？」
そう。木野ちゃんの言った通り、なんと先程まで一緒にいたはずの吹雪くんの姿がキャラバンのどこを見渡しても見当たらないのだ。
……個人的な話、実を言うと、出会ったときから彼のことは少しばかり気になっていた。
初めて和泉野で彼と出会ったときも、手伝いに来てくれたときも……彼はときより辛そうに顔を歪めて、妙な呻き声を上げていたりしていた。ついでに言うと、彼の見せる穏やかそうな笑みはたまに無理をしているようにも見える。
そんな彼が心配で、手伝いをしてもらったときから勝手に気にしていたけど……その矢先にこの現状だ。私はなんだか心配になって、「私、探してこようか」と自ら名乗り上げた。
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こめこ(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます。私にはもったいなすぎるお言葉です……！ 完全なる長編なので読むには少し骨が折れるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです( ´∀｀) (2019年4月7日 18時) (
レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - あ、こめこ様の作品発見！ 神作品の予感がするぜぇ...！！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月7日 18時
