第71話 前進あるのみ！�� ページ44
「シュートは普通、それなりの速度と威力があれば障害物にぶつかった後も暫くは速度を保ち続けられるものだ。だからこそ、力強いシュートはキーパー技をも弾き返すことができる。ただ……
……水野。お前のそのフルールトワレは、似たような技の中でも障害物に当たった後の失速する速度がずば抜けて早い。何故だかわかるか？」
鬼道さんのその質問に、私はそっと首を横に振る。
……たしかに、思い返してみれば私がシュートを打ったとき、コーンにぶつかった後のボールは不自然なほどの速さで失速していた。でも、その原因までは私にはわからない。自分の技だというのにそれがわからないだなんて、情けない話ではあるけど。
「それは、ボールと共に舞うその"花弁"に原因があるんだ」
「……えっ！？」
──フルールトワレの"花弁"に原因が？
私は思わずそう聞き返した。ボールと共に舞う"花弁"は、私の技における代名詞のようなものだったからだ。
「ああ。その花弁は、ボールを追うように舞うことでシュートのスピードと威力を上げる効果を持っている。しかし、障害物にぶつかった後、その花弁がどうなっているかをお前はしっかりと見たことがあるか？」
「ううん、流石にそこまでは見たことないよ。コントロールをカバーしようって必死だったから……」
「そうか。ならば、正解を教えよう。正解は……こうだ！」
その辺に落ちていた枯葉を花弁に見立て、鬼道さんはわかりやすくデモンストレーションをする。
ボールの方へと舞っていった枯葉は、ボールがコーンにぶつかると同時に、勢いを抑えきれずにボールとコーンの裏側に舞う。裏側に来た花弁にボールの威力を抑えられた結果、ボールは数秒足らずであっという間に失速してしまっていたのだ。
「な、なるほど……だからフルールトワレを打ったとき、ボールは不自然なまでに急な速度で失速してたんだ」
「そういうことだ。そしてそれを改善するには、ボールのスピードと威力を増す元となる花弁を除くしかない」
「……えっ！？」
花弁を除かなくちゃいけないだなんて……そんな。
先ほども言ったが、ボールと共に舞う花弁は私の技の代名詞のようなものだ。ドリブル技だって花弁を駆使してなんとか編み出した技なのに……それを除けと言われても、悲しいことにそんなの普通のシュートにしかならない。
「フルールトワレから花弁を抜いたら、それはもうただのシュートだよ。そんなことできるわけ……」
「簡単なことだ。それが無理なら──新しく技を作るんだ」
そう語る鬼道さんの表情は、なぜか自信に満ちていた。
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こめこ(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます。私にはもったいなすぎるお言葉です……！ 完全なる長編なので読むには少し骨が折れるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです( ´∀｀) (2019年4月7日 18時) (
レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - あ、こめこ様の作品発見！ 神作品の予感がするぜぇ...！！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月7日 18時
