第52話 優しそうな�� ページ25
「──よかよか。よか勝負じゃった」
そんな風にみんなで試合の余韻を楽しんでいると、不意に後ろの方からぱちぱちぱち、なんて小さな拍手の音が聞こえてくる。
そんな拍手の音に乗せて聞こえてきたのは少なくとも私にとっては聞いたことのない声で、声の主は一体誰なのかと私はすぐに後ろを振り向いた。
するとそこにいたのは、なんだか優しそうな雰囲気を纏った、眼鏡をかけた温厚そうなおじいさん。当然このおじいさんが誰なのか私には見当もつかなかったけど、陽花戸中のみんなはどうやら私とは違っていたようで。
「校長先生！」
戸田くんがそう言うと、校長先生と呼ばれたおじいさんはゆっくりと私たちの集まる方へと近づいていく。
「お待たせしてすまんかった。わしが校長の伐天ったい」
おじいさんはそう言いながら、にこりと優しく微笑んだ。……ということは、この人があの"裏ノート"を持っている陽花戸中の校長さん？
「この人がじいちゃんの幼馴染……！」
すぐに校長先生こと伐天さんの方へ駆け寄る円堂くん。円堂くんは伐天さんの顔をまじまじと見つめると、興奮しきった様子で「は、はじめまして！」と嬉しそうに自己紹介を始める。
「オレ……雷門中キャプテンの、円堂守です！ 円堂大介の孫です！！」
「ああ、言わんでもわかるったい。そん目、そん顔……本当に大介にソックリばい。懐かしかね……」
伐天さんはどこか懐かしげに目を細めながら、しんみりとそう呟く。
円堂くんと伐天さんとの間に流れたあたたかい雰囲気は、なんだかものすごく安心感があった。言うなれば"実家のような安心感"……いや、流石にこの喩えは大袈裟かもしれない。
そうしてしばらく沈黙が流れると、まるでその雰囲気を打ち破るかのように、またしてもどこからともなく聞き覚えのない声が聞こえてきた。
「ほう……その少年が、伝説のキーパー選手と言われた円堂大介のお孫さんですか？」
……いや、誰だよ。わりとマジで誰だよ。
どこからともなく現れたのは、伐天さんと同じく優しそうな雰囲気を纏ったややご年配の男の人。
一口に"優しそう"とは言っても、その人からは"優しそう"とはまた別の只ならぬ雰囲気が溢れていて、いい人そうなはずなのに私はなんだか気が抜けなかった。むしろ、肩に妙な力が入る。
「なっ……！！」
見知らぬ人物の予期せぬ登場に困惑してみんながぽかんと口を開けている中、ただ一人違う反応を見せたのは瞳子さんだった。
瞳子さんは一瞬だけ微かに声を漏らすと、すぐにそのおじさん？ おじいさん？ から顔を背けてしまった。
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こめこ(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます。私にはもったいなすぎるお言葉です……！ 完全なる長編なので読むには少し骨が折れるかもしれませんが、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです( ´∀｀) (2019年4月7日 18時) (
レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - あ、こめこ様の作品発見！ 神作品の予感がするぜぇ...！！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめこ | 作成日時：2019年3月7日 18時
