優しいだけじゃ ページ2
*北条(マネージャー)side
『北ー条さんおはよぉ〜。』
ほぼ開いてない目を擦りながら出てきた
世間的には国民的アイドルと言ってもいいこの人を
少々乱暴に車の後部座席に押し込む。
私が担当するという事は、お察しの通りAさんの長期個人仕事です。
今回は映画の仕事で、撮影の為にここ２週間程地方の民宿暮らし、
ド田舎すぎて携帯の電波が繋がる場所が非常に限られているのが難点だ。
まあ、お陰様で目撃情報の情報漏洩や、
変な追っかけが居なくて良いと言えば良いのですが。
撮影は順調。
今日が終われば東京でのラストシーンを撮影し、クランクアップの予定。
今回の作品は非常にシリアスで、Aさんの役柄も
ほとんど表情の変わらない、クールな役だ。
『明日には東京に帰るんやな〜。皆元気してるかな…
まさかこっちに来る途中、携帯なくしてまうなんて…。』
はは…と乾いた笑いをこぼしながら、
げんなりとした表情で落ち込む。
まあ持ってたところで、どのみちここでは電波が通じにくいし、
携帯ショップへの利用停止届と、仕事の連絡は私がしておくから、
という事で今は我慢してもらっている。
『もう私に関わるな…！』
演技とは思えない張り詰めた空気に思わず周りが息をのむ。
威嚇するように睨みつけるが、怯えるように揺れる瞳。
距離感を縮めようと踏み込んでくる相手に、
人との関わりを避けていたクールな女は心乱される…。
という、クライマックスに向けて一気に盛り上がっていくシーンだ。
ある意味で彼女は“演技”ができない。
普段も嘘をつけない(ついでもすぐバレる)タイプだし、
基本的にバカ正直だ。
だからこういった俳優としての仕事の時は役が降りてくる。
特に自分とかけ離れた役の時はそれが顕著で。
つまり、今回はそれが必要な役だ。
お疲れ様でしたー！
無事にここでの最後のシーンの撮影が終わり、撤収準備が始まる。
ほとんどの出演者はこのままもう一泊するが、
私達はこの後すぐの東京行きに滑り込むため、急ぐ必要があるのだ。
明日の朝から東京で仕事の後、
午後からはこの映画のラストシーン撮影というタイトなスケジュールだ。
大変だとは思いますが、このスケジュールがベストですから。
ようやくマンションに帰り着いたのは、もう深夜と呼べる時間。
まだ半分以上寝てる状態のAさんを部屋まで送り届け、
聞いているのか怪しいが、明日の迎え時間を伝えドアに鍵をかけた。
さて…
明日で仕上げですね。
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おこめ(プロフ) - Mamecccchiさん» 通知が来ておらず、お返事遅れまして本当に申し訳ないです！嬉しいお言葉本当にありがとう御座います！私生活の変化で中々時間が取れず前ほど更新できなくて申し訳ないのですが、またぼちぼち更新できればと思っておりますので、気長にお待ち頂けると嬉しいです！ (2021年1月31日 20時) (
レス) id: 9bbb71cfd8 (このIDを非表示/違反報告)
Mamecccchi(プロフ) - ツクールにお世話になり始めて6年ほどですが、やっぱりおこめさんの作品が1番大好きです！！何度読み返してもいつも、楽しく拝見してます、、！もっと沢山の人におこめさんの作品を知らせたい、、！と思うばかりです、、！ (2020年10月15日 19時) (レス) id: 83726ffcb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おこめ | 作成日時：2020年2月15日 17時
