全力前進無限大

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それから更に数年。
ウチは地元の高校を卒業して、警備の事務仕事とか手伝いつつ
ちょっとでも役に立てないかって、マネージメントの勉強をこっそりしてみたり。


渋谷・横山・村上の年上３人が東京進出をして。
ジュニアブームなんてものが起こって。

…せやけどそれでもどんどん仕事が減って、３人は大阪に帰ってきた。
一緒に頑張ってきたジュニアの子もデビューを諦めてどんどん辞めていく。
「不遇の関西」って言われ始めたある日、
ジャニーさんに呼び出された。




「渋谷・錦戸をＷメインボーカルに、横山・村上・丸山・安田、
あとこの間ドラムテストに合格した大倉でグループを組ませようかと思う。」




ついにきた。彼らの努力が報われる時が。

いや、本当に大変になるのはこれからかもしれない、
けどスタートラインに立つのも難しいこの世界…
大きな喜びと、小さな寂しさが胸に満ちる。



『…何で、それでウチを呼んだんですか…』


「YOUは特にあの７人と仲が良かったからね。
僕は彼らを今までにないアイドルにしたいと思ってる。
デビューとなると、彼らとの付き合いも考えてもらわないといけない。」


『はい…』


「彼らにも同じ事を伝えたよ。そしたら何て言ったと思う？
７人揃って『Aを僕らに下さい！』って

だから…



YOU、あの子達と組んでみない？」








『………は？』






たっぷり数秒考えてようやく出てきた言葉は情けないながら一言で。
組む？ウチが？誰と…？皆と？



『ちょ、ちょお待って下さい！ウチ女ですやん！！！』


「勿論知ってるよ。でも昔は女性タレント居たし。YOU中性的だから大丈夫だよ。」


『入所してジュニアだった訳じゃないし！！！』


「いや、ここで雑用する時に通行書作るのに最初に書類書いたよね？実はあれ入所届け。
あれだけジュニアの子と歌って踊ってたら、レッスン受けてるのと一緒だよ。」


『…絶対…足引っ張る…皆の迷惑になりたない……』


「男性グループ内の唯一の女性。多分凄く大変な道だと思う。
他のグループならすんなり決まる仕事も回ってきにくいかもしれない。
でもね、僕はそれも含め『今までにないアイドル』にしたい。」


誰よりも彼らがそれを望んでる。
そこでジャニーさんは言葉を区切り、じっと私の目を見つめ問いかけた。




「君自身はどうしたい？」

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