全力前進無限大

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*渋谷side




ようやっと撮影終わって。
俺にへばりついてたREIKOって子から逃げる。
顔もスタイルもええ、今回みたいに皆に気も使える。
せやけど何かあかんねん。元々Aが着るはずやった衣装着てるのもあるせいか
しっくりこえへん。
まあこれは俺が人見知りっていうのもあるかもしれんけど。


滅多に遅刻せんAが遅刻した。…ほんまにただの寝坊なんか？
最近忙しゅうてだいぶ顔色悪かったしな…
薄暗いスタジオの隅でうつむくAの体が傾く。


スローモーションみたいにAが床に倒れていくのが見えた。


「「「A！！！！」」」


ほぼ同時にヨコとヒナと俺が叫んで。
こんな時まで息ぴったりとかやめろや、なんて思う余裕もなく駆け出してた。


マネージャーが車回してる間にダッシュで帰り支度して。
ヒナがスタッフさんに事情を説明して、頭下げて皆で撤収する。
救急車呼ぶかっていう話にもなったけど、俺らの車で行ったほうが速いから断った。


最後スタジオを後にする時、
チラっとREIKOちゃんの顔が見えた。

…その顔は、どういう意味や…
完全に睨みつけとるやんけ…。





病院に運び込まれて。
診断結果は疲労と心労からくる発熱。
点滴打たれて、その後はふつーに薬出されて。
幸いにも倒れたときに頭打ったなんて事もなく、入院する必要もなく終わった。



心配やし今日は全員でAの家に泊まることになった。
Aの部屋は物が少なくてめっちゃシンプル。
男７人もおるけど、テーブルどかして適当に雑魚寝したらいけるやろ。


「では皆さん、すみませんがAさんの事よろしくお願いします…
明日Aさん久々のオフなのでゆっくりさせてあげて下さい。」



玄関でマネージャーを見送るヒナと俺。
あの後今日の撮影スタッフさんから連絡きて、えらい心配してくれてはったらしい。

一応予定通りに１週間後本番をするけど、体調が戻らないようなら
テスト撮影もしたREIKOで本番もやる可能性が出てきたって話らしい。
…クライアントにゴリ押してきよったな…



「あー…マネ。昨日Aが飲んでた店わかる？」


「？ええ、僕が店まで送ったので…。」


「…ヒナ、ちょお俺出てくるわ。１時間くらいで戻るし。」


「お前はまた好き勝手して…はよ帰れよ。」


お前はオカンか！いや、オカンやな…
って笑いながらAの家を後にした。

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