TAKE７ 馬小屋にて ページ8
「馬は舐める」
「さらに噛む」
審神者は不愉快そうに言った。その隣で馬に頭を齧られている蛍丸はうつろな目で付け加えた。
暇つぶしに馬当番を手伝う事にした審神者は、馬の涎でぐっしょぐしょの髪の毛を、近くにいた馬の尻尾で拭いた
「僕は馬に怖がられちゃうんだけどねえ」
青いジャージを着たにっかり青江が小雲雀を見つめて言う。小雲雀の方へ一歩踏み出した審神者は、また近くにいた馬に舐められた。
「そういえば薬研も舐められてたな」
「薬研君がいると、馬当番がスムーズに進むんだ。そっちに馬の意識が集中するからね」
「さらっと酷いこと言ったな」
厩の床に散らばった藁を熊手で集めているにっかり青江は、審神者達を見て笑った。
「俺たちだってお前のために舐められたり齧られたりしてる訳じゃないけどねっ」
蛍丸はブーイングを漏らし、口をとんがらせて作業に戻った。審神者はなおも舐められている。
三十分ほどたって、馬糞の掃除が終わった。
審神者は動くことが出来ずに舐められ続け、面の隙間から馬の涎がはいってくるとぼやいていた。
「はげそう」
審神者が言うと、蛍丸が同意した。
馬の興味は審神者の頭頂部の髪の毛から面を固定する紐に移ったらしく、馬は頭を下げた。
「あっ、こら！紐を噛むな！」
馬に面の紐を噛まれ、審神者が大声をあげたので、思わず馬当番のふたりは審神者の方を見た。
実のところ、審神者の顔は初期刀ですら見たことが無いので、本丸の七不思議になりつつあった。
それを今、確認できるかもしれないと蛍丸は審神者の面を穴が開くほど見つめた。
ぶちっ
紐が不穏な音を立てて切れ、面ははらりと審神者の頭を離れて地面に落ちた。
しかし
「そんな……」
「嘘でしょ……」
にっかり青江と蛍丸は驚きを隠せずにいた。
審神者の顔は露わにならず、また面で覆い隠されていた。もちろん落下した面をそのまま着けなおしたわけではない。一枚目は地面にちゃんとある。
面はマトリョーシカのごとく幾重にも重なっているのか。
にっかり青江と蛍丸は、お互いに顔を見合わせ、また審神者を見つめ、もう一度顔を見合わせた。
言葉も出せずに呆けている二人に気が付いた審神者は、明るく言った。
「ドッキリ成功ってところだな」
二人の叫び声が馬小屋に響いた。
「怖っ！」
「一瞬、顔を見られると思ったんだけど？！」
審神者を舐めていた馬は紐がお気に召さなかったらしく、不機嫌そうに頭を振った。
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いなほん(プロフ) - 最゛高゛で゛す゛……!!!!素敵なにっかりさんをどうもありがとうございました！ (2016年12月4日 17時) (
レス) id: eb5ee429dc (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - 拳銃さん» すみません、御指摘ありがとうございます。次のお話で、書き方を変えてみます…。 (2016年9月16日 21時) (レス) id: 873a9a633f (このIDを非表示/違反報告)
拳銃(プロフ) - もう少し間を開けた方が読みやすくなりますよー。はっきり言ってこれ読みにくいですね。二、三行で良いので間隔取ってくださいね(´-ω-`) (2016年9月15日 23時) (レス) id: d214872701 (このIDを非表示/違反報告)
ルサルカ(プロフ) - 新鮮な鉛筆(２B)さん» ありがとうございました！電車の中なのにニヤケちゃいました！www更新のんびり待ってるのでのんびり頑張ってくださーい！応援してますw (2016年9月9日 19時) (レス) id: 2218d295b6 (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - ルサルカさん» 「待つ」ですか、リクエストありがとうございます！また時間が開いたら書かせていただきますね。 (2016年9月4日 8時) (レス) id: 451b47dddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：新鮮な鉛筆(２B) | 作成日時：2016年8月10日 13時
