TAKE１０ 座敷牢にて ページ15
「というか、こういうことは主である君が中心となって決めるべきでは？」
という歌仙兼定のド正論に審神者は「あ」と声を漏らした。歌仙兼定にとって代わって審神者がこの場を収めることになったが、審神者は軽い刑を言い渡しただけで終わった。
座敷牢で一週間の謹慎処分を言い渡されたにっかり青江は、貼りつけたような笑顔で快く了承してくれた。
「それでは解散」
審神者は号令をかけると逃げるように部屋を出た。
謹慎四日目、にっかり青江は真夜中に誰かがここに向かってくるのを感じた。ゆっくりと木でできた床板を踏みしめる音、床板が人間の体重できしむ音。
座敷牢に近づいてきた足音は、牢の前でぴたりとやんだ。
「にっかり、にっかり青江」
真夜中だから誰かを起こさないように、と気遣って小さな声で話しかける誰かは、にっかり青江の所在を確認しているようだ。
「ここだよ」
静かににっかり青江が返事をすると、扉の向こうの誰かは安堵したようだった。
「ああよかった。起きていたか。少し話したいことがあるから、その場で聞いていてくれないか」
審神者はいつも通りに頼み事をするような口調でそう言った。にっかり青江は少し戸惑った様子を見せたが、それを思わせない声で了承した。
「いいよ」
「ありがとう」
小さな声が礼を言った。審神者は扉に手をあてた。
「私が臆病だと知って、幻滅したか」
にっかり青江は何も言わずにそれを聞いていた。しかし審神者がこれ以上何も言いそうもないと分かると、謝罪の言葉を口にした。
「ごめんね」
審神者は何も言わない。
「あの時、最初は君の心を暴いて、確かめるだけのつもりだった。途中から、怖がる君がだんだん面白くなって、傷までつけてしまった」
一度、座敷牢には音も何もなかった。廊下の審神者は言う。
「私は、自分が臆病だと知られたくなかった。皆を率いる主のままでいたかった。
……でも、結局はそれもただの見栄っ張りでしかない。崩してくれたのはお前が初めてだった」
先ほどまで落ち着いていた審神者の声は、急に感情がこもって、震えてきた。
「どうだ。失望して、私のことが嫌いになったか？」
「それは僕の方さ」
扉の向こうの審神者は随分驚いていたようだった。
「戯れに暴かれて、挙句の果てには泣かされて。そんなことをされてもまだ、今まで通りに接していく自信が君にあるのかい？」
「うん」
にっかり青江は思わず扉の向こうにいるはずの審神者の顔を見つめた。
「お前なら、それでもいい」
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いなほん(プロフ) - 最゛高゛で゛す゛……!!!!素敵なにっかりさんをどうもありがとうございました！ (2016年12月4日 17時) (
レス) id: eb5ee429dc (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - 拳銃さん» すみません、御指摘ありがとうございます。次のお話で、書き方を変えてみます…。 (2016年9月16日 21時) (レス) id: 873a9a633f (このIDを非表示/違反報告)
拳銃(プロフ) - もう少し間を開けた方が読みやすくなりますよー。はっきり言ってこれ読みにくいですね。二、三行で良いので間隔取ってくださいね(´-ω-`) (2016年9月15日 23時) (レス) id: d214872701 (このIDを非表示/違反報告)
ルサルカ(プロフ) - 新鮮な鉛筆(２B)さん» ありがとうございました！電車の中なのにニヤケちゃいました！www更新のんびり待ってるのでのんびり頑張ってくださーい！応援してますw (2016年9月9日 19時) (レス) id: 2218d295b6 (このIDを非表示/違反報告)
新鮮な鉛筆(２B)(プロフ) - ルサルカさん» 「待つ」ですか、リクエストありがとうございます！また時間が開いたら書かせていただきますね。 (2016年9月4日 8時) (レス) id: 451b47dddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：新鮮な鉛筆(２B) | 作成日時：2016年8月10日 13時
