拾九 ページ20
話は時を遡る。
少女が赤__もとい赤の振りをした青と任務地へと乗り込んだ際の少女の知らない話。
「おそ松兄さん,これの後,本当にあの子を仲間に加えるつもりなの?」
「そうだな〜。この任務で裏切る様な奴かは見極められると思うしね〜」
「あ〜あ,こんなのに目ェ付けられちゃって…あの子も可哀想に」
「思ってないくせに。このドライモンスター」
「…まぁ,思ってませんケド」
車の中で待機組の青と桃。桃はパソコンを触り兄弟と標的,少女に着けた発信機から全体の流れを探る役割を担っていた。
「ん,ターゲットに接近」
「仕事が早いね〜」
画面を見ながら報告する桃に青は笑いながらパソコンを覗き込む。標的の印に少女の印が近付いていく。
「早くない?」
「…早いな」
少女と標的の印が重なったと思えば直ぐに離れていく。少女と標的が近付いたのは今回のみで今盗ったのだと容易に予想する事が出来た。
「決行」
『yes,sir.boss』
青は通信機を通して緑に合図を出す。
『トド松さん、』
青の後ろで桃に宛てられた言葉と共に通信機の向こう側から鈍い音がした。
「あ〜あ,良いな〜兄さん達…僕もおそ松兄さんのお守りなんかよりもあっちに行きたかった〜」
「仕方ねーじゃん!!俺ボスよ?奇襲受けたらどーすんの!?」
「だってあっちのが楽しそうだし〜おそ松兄さん一人で何とか出来んじゃん」
マフィアの頭たる空気から一変,おちゃらける青に桃はため息を吐く。
______僕が居ないと何にも出来ないんだから
桃は一箇所に集まる3人の兄達の印と少女の印を眺める。
今の桃には視界に映る青も個人差はあるがこの任務に乗り気の兄達も,暗い車内でチカチカと光る発信機の印も煩わしくて仕方がなかった。
『ん…』
兄に渡した盗聴器から微かに声が聞こえてくる。
「ほら,おそ松兄さん。起きたみたいだよ。」
「どれどれ〜?」
桃が青にイヤホンの片耳を差し出すと青は楽しそうに受け取り耳に付ける。
『目が覚めたかい?』
「誰こいつ」
「いや,雇った奴だろ。」
「だって言い方がさ〜…かっこつけてる感じしねぇ?」
「まァ…そこはMr.フラッグの人選だから…」
盗聴器の感度は良好。盗聴器を持たせた兄は,思いの外少女と男の近くに居るようだ。
青と桃はイヤホンに聞き耳を立てながら他人事だとでも言う様に聞こえてくる内容に着いて話す。
「さて…Aちゃんは信用に足る奴かな?」
青の口元は楽しそうに弧を描いた。
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水無瀬(プロフ) - ペコまる。さん» はじめまして。有難う御座います。一応年齢設定としましてはおそ松達は20代前半,夢主は16~17辺りのつもりで書いておりますが,何せ栄養不足の発育が悪い状態ですので少女表記にしております。 (2019年9月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
ペコまる。 - とっても面白いです!ところで何歳くらいの設定ですか? (2019年9月8日 18時) (レス) id: efabf24793 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 紅夜の黒猫さん» はじめまして。有難う御座います。楽しんで頂けたのでしたら幸いです。とても励みになります,頑張ります。 (2019年8月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
紅夜の黒猫 - 水無瀬さん» はじめまして。作品読ませてもらいました。とても面白いです。設定といい、内容といい、よくできてますね!続き楽しみにしています (2019年8月6日 15時) (レス) id: 49d4392d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 暇人さん» はじめまして。有難う御座います。とても励みになります。楽しんで頂けたのでしたら嬉しいです。この先も作者の妄想にお付き合い頂けましたら幸いです。 (2019年7月16日 8時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無瀬 | 作成日時:2019年7月14日 2時