拾伍 ページ16
「行くぞ,girl」
「はい」
少女と赤はパーティ会場へと足を進める。大きな扉が開かれその先には絢爛豪華な内装に,大勢の人。何やら怪しげな話をしている。どうやら立食パーティーとは表向きの,裏の世界の情報交換の場のようだ。
「おぉ,おそ松くん。久しぶり」
「お久しぶりです社長〜!あ,此奴俺のお供です。こーいう所初めてなんで,粗相しても見逃してやって下さいね?」
少し小太りのおじさんに話し掛けられるとカラ松はお調子者を演じる。こういう所が利点なのかと少女は関心した。
カラ松は声色までおそ松そっくりに話し始めた。
「Aと申します。」
「Aちゃんか。おそ松くんとは,夜の関係で?」
「そんな訳無いじゃ〜ん!社長,好きだね〜」
少女が笑顔を浮かべて名を述べると社長と呼ばれたその人は下世話な内容を振る。赤と社長は楽しそうに談笑をし始めた。
任務開始の合図だ。
「おそ松さん,私ちょっと御手洗に」
「はぁ〜い,迷子になるなよー?」
「馬鹿にしてます?」
「あれ?バレちゃった?」
少女と赤はまるで身内の様に笑って話す。赤と話す小太りの男性や,他の客に関係を悟られてはいけない。
「それでは,失礼します」
少女は何処かの社長に挨拶をすると会場の人混みへと消える。
______先ずはターゲットを探さないと。…見付けた。
少女の視線の先には高身長の頬が大きい男性。ターゲットだ。
不特定多数の人々は他人に関心が無いとは言えどいつ見られているか分からない。
少女は男性が人気のない所へ移動するのを待った。
「トイレに行ってくるよ〜ん」
「分かったダス!」
「楽しいジョ〜」
男はパンツ一丁の男と頭に旗が刺さった男と一緒に居た。ターゲットが鞄を持ち会場を出る。少女も後を追い会場を出た。
______チャンスだ。後ろからは盗り辛い…出てきた所を…
トイレに入った男を見送り少女は頭の中でイメージをする。
「すっきりしたよ〜ん」
男はハンカチで手を拭きながら出てきた。ハンカチを取り出した為か鞄は開いている。少女は男に近付いた。
「あっ,ごめんなさい」
「大丈夫かよ〜ん」
「はい…ありがとうございました」
少女は男にぶつかる。男の視線が顔に向いている事を確認し鞄から書類を抜き取り咄嗟に太股の間へと隠し男の元を離れた。
「トド松さん,」
少女は報告をしようと通信機を取り出し小さな声で桃色を呼んだ。
同時に聞こえた鈍い音と頭に感じる鈍い痛みに少女は気を失った。
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水無瀬(プロフ) - ペコまる。さん» はじめまして。有難う御座います。一応年齢設定としましてはおそ松達は20代前半,夢主は16~17辺りのつもりで書いておりますが,何せ栄養不足の発育が悪い状態ですので少女表記にしております。 (2019年9月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
ペコまる。 - とっても面白いです!ところで何歳くらいの設定ですか? (2019年9月8日 18時) (レス) id: efabf24793 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 紅夜の黒猫さん» はじめまして。有難う御座います。楽しんで頂けたのでしたら幸いです。とても励みになります,頑張ります。 (2019年8月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
紅夜の黒猫 - 水無瀬さん» はじめまして。作品読ませてもらいました。とても面白いです。設定といい、内容といい、よくできてますね!続き楽しみにしています (2019年8月6日 15時) (レス) id: 49d4392d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 暇人さん» はじめまして。有難う御座います。とても励みになります。楽しんで頂けたのでしたら嬉しいです。この先も作者の妄想にお付き合い頂けましたら幸いです。 (2019年7月16日 8時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無瀬 | 作成日時:2019年7月14日 2時