拾壱 ページ12
目を覚ました少女は起き上がる。見慣れない白い天井にふかふかのベット。然し自分の汚い姿は相変わらずだ。どれくらい気を失って居たのだろうか。
「此処は…確か…カラ松さんに殴られて…」
少女は重たい身体を起こす。すると右足の付近から小さな金属音がした。掛けられている布団を捲ると足には手錠がかけられておりベットの柵に繋がれていた。
「動けないな,これじゃ…」
少女は再びベットに倒れ込む。
______弟妹達は今頃硬い床の上だろうに私だけこんなふかふかなベットで寝転がっていていいのだろうか。
「イチは,大丈夫かな…」
弟が心配だが,動けないのでは仕方が無いと少女は誰かが様子を見に部屋を訪れてくれるのを待った。
「お目覚めか?カラ松girl」
律儀にもコンコン,と2度ノックをし部屋に入って来た男は先程赤色のシャツを着ていた男だ。今は青を着ている。
「カラ松さん…あの,イチ…弟は…」
「ん?嗚呼,girlのbrotherは無事だ。今は熱も下がってすやすやと眠っているさ」
カラ松が入室した際に起き上がっていた少女は弟の容態が安定した事に安堵の息を漏らす。嘘を着いている様子の無いカラ松に少女はお礼を述べた。
「さて,girlも心配だろうからgirlのbrotherの所へ案内しよう。その後,俺のbrotherの所だ」
______会わせてくれるんだ。
少女はおそ松の言った見返りがどんなものかは分からなかったが弟妹の所へ戻れない覚悟はしていた。カラ松は少女の足とベットを繋いでいる手錠の鍵を取り出し手錠を外す。
「すまないな。君は仲間で無いから他のマフィアのスパイだと言う可能性も捨てきれないんだ。だから手錠を付けさせてもらう」
「構いません。」
カラ松は少女の両腕へと手錠を掛け直すと少女に着いてくるよう促し部屋を出た。幾つか扉がある廊下を歩くと一番奥の扉を開けるカラ松。
______治療室の様なものかな
裏の世界に生きる住人は表世界の病院には行けない。自分達で治すか闇医者と呼ばれる人間に治してもらうという選択肢しか無いのは路地裏で暮らす少女達も同じだった。
「イチ!…良かった…」
中央のベットで寝かされている弟に駆け寄る少女。もう既に熱は下がっているようだ。少女は弟の頬に触れる。
______嗚呼,もう私が居なくても大丈夫だ。
バイバイ。そう呟いた少女はカラ松の方に向き直る。
「…行きましょう」
「もういいのか?」
「はい。」
少女はカラ松と共に治療室を後にした。
79人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水無瀬(プロフ) - ペコまる。さん» はじめまして。有難う御座います。一応年齢設定としましてはおそ松達は20代前半,夢主は16~17辺りのつもりで書いておりますが,何せ栄養不足の発育が悪い状態ですので少女表記にしております。 (2019年9月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
ペコまる。 - とっても面白いです!ところで何歳くらいの設定ですか? (2019年9月8日 18時) (レス) id: efabf24793 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 紅夜の黒猫さん» はじめまして。有難う御座います。楽しんで頂けたのでしたら幸いです。とても励みになります,頑張ります。 (2019年8月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
紅夜の黒猫 - 水無瀬さん» はじめまして。作品読ませてもらいました。とても面白いです。設定といい、内容といい、よくできてますね!続き楽しみにしています (2019年8月6日 15時) (レス) id: 49d4392d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 暇人さん» はじめまして。有難う御座います。とても励みになります。楽しんで頂けたのでしたら嬉しいです。この先も作者の妄想にお付き合い頂けましたら幸いです。 (2019年7月16日 8時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水無瀬 | 作成日時:2019年7月14日 2時