【沖一利】縫いぐるみのような私に、愛をくれた貴方【夢小説】

"第一幕　揺れ動く幕開け"　3話 ページ4

「はいはい。分かったから、田島も水分補給しとけよ〜」
「ちぇ〜信じてないだろー」

サカエグチに諭され、不服そうな顔を浮かべながらタジマは視界から遠ざかっていく。

不服そうな顔も、数秒後には楽しそうに笑顔を浮かべているもんだから、タジマという青年は侮れない。…色んな意味でも。

「なーここにいる子さ、何も食べなくてへーきなの？」

頭に、重たくのし掛かられる。
抱き締められているのか、頭を押さえ付けられているのか、些か反応に困るこの行動をしている青年ー明るい髪色、前髪を大きくわけた飄々としている、先に言った“ミズタニ”という青年だ。

ダジュンはいつも低く、性格も相まって他の子からいじられること(優しく？)が多い、って聞いた。

「いや、逆にどう食べさせろと…」
「つーか、お前。さっきなんであんな簡単なキャッチャーフライ弾いてんだよ。公式戦だったら点入ってたぞ」
「花井が高く上げすぎなんだよう！！オレだってとれると思ってたけど、なんか足りなかった…」

あんなにも広くて静かだったベンチは一気に人で溢れて、会話という会話がすぐ近くに聞こえてきてまるで盗み聞きしているようで少し申し訳なくなる。

とはいえ、この三人は私の真正面で会話しているのだから、盗み聞きしてるわけではない、と思いたい。

ちなみに、ミズタニの会話に返答していたのが“スヤマ”という青年で、身長が高い。こっちも同じくスポーツ刈りで、いつも冷静だ。 ダジュンも中位辺りで、皆の失敗をカバーしているみたい。

そして、ミズタニに対して叱っていたのがハナイ…このヤキュウブのキャプテンだそう。
スヤマと同じくらいの身長で、タジマと並ぶものを持っている。監督が言っていたのを聞いていた。

「それも、午後のミーティングで監督に言って、直してもらうぞ」
「えぇ〜オレ別に公式戦だったらフライ落とさね「ーとも限らないだろ、練習振り返ってみろ」…げぇ、阿部かよう。盗み聞きはよくないぞ〜」
「ベンチにいりゃ、勝手に耳に入ってくんだよ。つか、沖しらねぇ？」


ミズタニとハナイの話を遮るようにして割ってはいるツンツン髪の青年。
身長は恐らく中の上、耳を引く声量で声を張り上げるこの青年が“アベ”というらしい。ミズタニが言ってたから、知った。

よく投手の三橋と一緒にいるのをみかける。

なんでも、投手の投げる玉を受けるホシュ的立場がこの青年の役割らしい。それをバッテリーというのだとかなんとか。

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