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story8 ページ8






こんなところでこんな目に会うとは…

とAは呑気に考えていた。


休日に郵便局へ用事があって訪れれば、強盗というありきたりな様。銀行にしなかったのは防犯対策が成り立ちすぎているからであろうか。


高校生男女二人に、受付の女性三人、そしてその他の物を数えれば二十いかないくらい。当たり前のように見知らぬ人が集結しているなかどこか目立つ男子が居た。


__工藤新一、だった。


「あるだけの金をつめろぉ!!」


受付の女性を人質にとりながら強盗犯三人のうちの一人が叫ぶ。他の二人は挙動不審な人物がいないかをめぐる様に見ている。

人質にとられた女性の目からは恐怖からきた涙が溢れそうだ。


目の前に困っている人が居て平和を乱すような行為は、他国であっても見過ごせない。


「……すみません」


控えめに近くに居た共犯者に声をかける。


「気分が悪いので鞄から薬を取ってもらってもいいですか…」


「んなもん後にしろ!」


「ひっ……く、薬を飲まないと発作を起こしてしまうんです…今朝飲んでなくて」


怯えた声を出して、一生懸命弁解する彼女を、誰がこれから強盗を潰すものだと思えるだろうか。

男は鞄に近づいてどれだ?と中身を漁る。


Aはにやりと笑った。



「どれでもないんだな、それが」








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作者名:*MIYO* | 作成日時:2017年2月6日 15時

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