第一章 1-3 ページ4
それから数分、意外にも早く目当ての物を見つけ出した。
クシャクシャに折れ曲がり所々破けているところを見れば、かなり乱雑に扱われていたことがわかる。見つけ出したAは声をかけた。
「コムイ、これじゃない？」
「読んで！」
即答だった。
一瞬躊躇いを見せたAだが、すぐに「…パス」と近くにいた人物に紹介状を押し付けてリナリーの方へと足を運ぶ。面倒が六割、態度が気に入らなかった一割、外の様子が気掛り三割だ。
その様子を見て押し付けられた人物は紹介状に目を移し、その内容を読み上げた。
「コムイへ。近々アレンというガキをそっちに送るのでヨロシクなクロス」
「はい、そーゆうことです！リーバー班長、神田くん止めて！」
「たまには机整理して下さいよ！ 神田攻撃を止めろ！！」
リーバーと呼ばれた彼は頻りに怒鳴りながら制止の声をあげ、コムイは歩きながら珈琲をコップに注いでいる。そんな光景を横目にAは「ふぅ」と一息をつく。
不思議そうに此方を見つめてくるリナリーだが、それも長くは続かず兄であるコムイがリナリーへと話しかける。
「リナリーちょっと準備を手伝って。久々の入団者だ」
※
「か、開門！」
何処かたどたどしく告げられる言葉と共に、重々しく扉が開かれる。
「入場を許可しまーす。アレン・ウォーカー君」
その言葉に逸早く声をかけ、否、問い詰めたと言うべきだろうか。
問い詰めたのは不機嫌そうな声色をした神田であった。
「コムイか。どう言う事だ？」
『ごめんね早とちりぃ〜。その子クロス元帥の弟子だった』
そして「ティムキャンピーが付いてるのがなによりの証拠だよ」と、続けて言った。
温度差が激しいやり取りを耳に入れながら「だから言ったのに……」と呟くリーバー。
『彼は僕等の仲間だ』
「そ、そ、そ、そうそう」
優し気な声色で神田を宥めるその声に、刃先を突き付けられながら必死になって同意する白髪の少年の周囲には、確かにティムキャンピーが飛んでいる。
「ふんっ」
尚も悪態をつく神田の頭上にバインダーが振り下ろされ、バシッという何とも言えない効果音にその場にいた人物は彼の後方へと視線をずらした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
