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57、過去編2  ページ9

気が付いたときには、彼のことをどうしようもなく愛してしまっていた。


彼と過ごして、いつの間にか忘れてしまっていたたくさんの感情が


日に日に蘇っていった。


私が笑えるようになったのも、彼の笑顔を見て笑い方を思い出したから。


私が楽しいと思えるようになったのも、楽しそうにしている彼を見て思い出したから。


私が悲しさや苦しさの痛みを思い出したのも、彼が私に寄り添ってくれたから。


私がここにいる意味を知ったのも、彼が私のことを大切な人だと言ってくれたから。


………思えば、この時から私は彼の操り人形になってしまっていたのかもしれない。


私は彼を愛していた。


けれど、その気持ちを伝えることはできなかった。


伝える勇気がでなかったから。


その代わりに、いや、だからこそ、


彼の大事な友人として、私ができることならなんでもしてやりたかった。


友人でも、彼にとって特別な存在になりたかったから。


でも、ずっと一人だった私には、どうすればいいのかわからなかった。


だから、彼の言うことをなんでもきいてやることにした。


そうしたらきっと、彼が私を嫌うことはないだろうと思ったから。


けど、今だから思う。


それは、間違っていたのだと。


彼は狂っていた。


しかし、それを隠す術も持っていた。


だから、それがいけないことだと、私は全く気付かなかった。


彼の口癖は、ずっと一緒にいてね?約束だよ。


それが、彼の狂気の一部だったことに、もっと早く気付くべきだった。


ある日、私は親の都合で一週間後に引っ越すことが決まった。


クラスの奴らには別に伝える必要はないと思った。


だが、彼には伝えなければいけないと思った。


私はその日の放課後、彼に引っ越しのことを伝えた。


『簾、私、一週間後に引っ越すことになった。』


「え…?」


彼の顔が曇った。


『でも、そんなに遠くないし…学校は転校しなくちゃいけないけど、休みの日なら会えるから。だから、転校しても友達でいてほしい。』


彼はしばらく黙ったあと、パッと笑顔で私に言った。


「うん!僕たちはいつまでも友達だからね!いつも言ってるでしょ、ずっと一緒だって。」


この時の彼に私は違和感を感じたが、気にしないことにした。


気にしていれば、未来は変わっていたかもしれない。


そのあと、二人で目いっぱい遊んだ。


寂しさを紛らわせるかのように、


私もその時間を楽しんだ。

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設定タグ:おそ松さん , 男装 , おそ松   
作品ジャンル:ギャグ
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キル坊(プロフ) - rainbow204649さん» はい!早速書かせていただきました…!いろいろ書きすぎておろそかになってしまっていたところもあったので、やる気になれるいいチャンスでした!ありがとうございます! (2022年11月30日 21時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
rainbow204649(プロフ) - いえ、怒ってませんよ。 (2022年11月30日 20時) (レス) id: d0a66fb317 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - rainbow204649さん» すみません、チョロ松の番外編はこれからなんです…!お待たせしてしまって申し訳ございません!なるべく早く書けるように頑張ります…! (2022年11月30日 16時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
rainbow204649(プロフ) - チョロ松 番外編はないんですか? (2022年11月30日 16時) (レス) id: d0a66fb317 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - ありがとうございます!嬉しいです!感謝してます。楽しみに待ってますね。 (2022年10月6日 16時) (レス) id: 07a8a54005 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キル坊 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/okitakarum1/  
作成日時:2022年9月19日 16時

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