悪役令嬢、魔王目指しま〜っす。

第二十話。 ページ21

「言えないの〜？アンタに協力したのって、この屋敷の人間なんでしょ？」


「な、なぜそれを…！？」


「言わな〜い。」


「うわ…きも…。」


珍しく子供っぽい言い方をしてやればウルキオが本気で引いたような顔をしてくる。


そんなウルキオを睨めつけながらも、私は男に問いかけ続けた。


「さっ、早くアンタに依頼したのか誰か言わなきゃ、殺っちゃうよ〜ん？」


あえて相手を挑発するような口調で言ってやる。


男は悩んだ末に、小さく言葉を漏らした。


「本名は…知らないんだ。ただ、”Ｒ”と名乗る男が…ここの娘を攫ってくれと…。」


「金は払う、侵入の手伝いもする、だから攫ってくれってか？」


「あ、あぁ…そうだ。」


男は生まれたての小鹿のように小刻みに震えながらそう白状した。


ふむ…”Ｒ”ねぇ…。


そいつがこの屋敷の人間だってこと以外、手がかりはないのか…。


「男はこの屋敷の執事の服を着てた…それぐらいしか知らない！本当だ！だからどうか解放してください…。」


情けなくぐすんぐすんと泣きながら懇願する男にさすがの私も呆れてものが言えない。


さぁてねぇ。


公爵家の娘を狙うなんて馬鹿な真似してくれたんだし、それなりの罰は与えなきゃな？


何がいいかなぁ…。


ふと、あることを思いついた。


上手くいけば、誰が雇ったのかわかるかもしれない。


「ウルキオ、こいつを明日の昼くらいまで気絶させることってできる？」


そう問いかければ、ウルキオはニッと笑ってみせる。


「お安い御用だ、お嬢様？」


「うげー、ウルキオが私をお嬢様って呼ぶとかこの世の終わりだわー。」


「てめっ、コノヤロー、永遠の眠りにつかせてやろうか！？」


「お前だってさっききもっとか言ってただろーに。」


そんな言い争いをしつつも、ウルキオは容易く男を気絶させた。


うん、こいつこんなだけど何気にすごいやつだわ。


「で、どうすんだよ？」


こんな罰じゃ足りないと言わんばかりの不満げな顔でウルキオがこちらを見る。


もちろん、こんな生易しい罰で終わらせる気など更々無い。


「じゃー、とりあえず…こいつの服、下着以外全部脱がせちゃって。」


「…は…？」


おい、なんだその、心底軽蔑したみたいな目は。


別に欲求不満とかじゃねーし、そういうこととか全く考えてねぇわ。


てかその男の顔見ましたか？その液体という液体でぐしゃぐしゃの顔見ましたか？


一つ教えてやる、私は根っからの面食いだボケ。

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