【d!】超能力少女と我々だ!３ (ページ24)

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94話.忘却ページ24

君は何も知らないままでいて。

君は綺麗なままでいて欲しいから。

だから、嫌なことも、苦しいことも

………全部、【無かったことにしてしまおう】？

彼女が来たのは、
僕がこの城の生活にも慣れてきた丁度その頃
だったと思う。
鎖をつけられた少女が、
数人の大人に引きづられるようにやってきた。
キラキラと輝く雪のような白髪に、
海を溶かしこんだような深い青の瞳。
皆は彼女に釘付けだった。
…彼女を始めて見た時の第一印象は
「人形みたいな子」だった。
なかなか喋ろうとせず、1人で
ポツン、といることが多かったからだ。
話しかけられたら、話しかけしてくれるけど
それ以外はまるで機械のように
言われたことを言われるがままやっていた。
……その姿に、見覚えがあって。
今の自分と重ね合わせてみていた。
鏡合わせにしたかのように、
そっくりだった。
1人なのも、聞き分けのイイコになっている所も
全部。
……既視感を覚えて、
彼女にふと声をかけてしまっていた。

「君は、辛くないの？苦しくないの？」

「……辛い。……辛いし、苦しいよ。」

「じゃあ何で、何で逆らおうとしないの？
苦しいならやり返せばいいのに。」

「…だって」

「……だって？」

「お母さん達の分まで、私生きなきゃ。」

あぁ、違ったか。

この子は、愛されていたんだ。

自分とは違う。

彼女には、帰るべき場所がある。

仲良くなれるかと思ったのに。

その時は、そう思った。

きっと、親がいないなんて

馬鹿にされると思った。

哀れまれると思った。

「お母さん、いるんだ。」

「……うん、……死んじゃったけど。」

「……俺には、いない。」

「え」

「一人ぼっちだったから。…
親なんて、顔も知らない。憶えてないんだ。」

「そうなの？……でも、友達くらいは」

「いない。(P-Pは幼なじみ)」

「………」

どうせ、慈悲をかけて
可哀想とか言うんだろう？

そんなの要らない、ただ俺は…

「じゃあ、私が友達になってあげるよ！」

「……ん？」

「だから、とーもーだーちー！
私と友達になろうよ。
私、君と友達になりたい。」

「……なんで？俺なんかと、」

「いいじゃん、なんでも。」

なろ？と笑う彼女に困惑しながらも。
変なやつだと思いながらも。

その一言で救われたのは内緒。

「…ほんとにいいの？」

「うん。」

「じゃあこれからよろしく。」

「よろしくね、えっと……」

「俺は▅▅▅▅だよ。」

「分かったじゃあ▅▅▅▅君って呼ぶね！」