【d!】超能力少女と我々だ!３ (ページ21)

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92話.本当ページ21

???「ちょっと待ってや」
黙っていた口を俺は開いた。
一斉に俺に周りの視線が突き刺さる。
その視線の中には不安げなもの、
焦りを含むもの。
たくさんの感情が渦巻いていた。
ゴクリ、と唾を飲み込み
次の言葉を発した。
tn「俺が悪いんや。俺がロボロに指示した。」
knsm「トントンっ！？ほんまか！？」
utu「とんち…ほんまに…？」
rbr「トントン……」
周りの反応など気にせず、
いや、気にしないようにして
俺は続ける。
tn「Aの素性が気になって
ロボロと一緒に身元確認しとったんや。」
gr「…それで？」
tn「………身元を確認したら。
あの子の記憶と違う点が見つかった。」
gr「……」
tn「グルさん、Aは
親は自分を捨てたって話したんやろ？」
gr「あぁ。」
tn「…違った。」
gr「…！？」
無表情だった彼の目が少し見開かれる。
tn「……あの子は、……捨てられたんじゃない。
あの子の親は、……ころ、されたんや。」
突如、どこか冷めるような感覚とともに
沈黙がやってくる。
その沈黙は、自分に向けられたナイフのよう。
その沈黙の間にも後悔と、懺悔に苛まれて
どうかなってしまいそうだった
思わず目を下に向けてしまう。
目の前の現実から、少しでも目を逸らしたくて
gr「そうか。」
それでも、彼は優しい声で。
gr「トン氏」
gr「トン氏。」
俺の名前を呼んだ。
思わず下げていた視線をあげる。
赤と黒が交差する。
gr「大丈夫だ、トン氏。
誰もお前を責めたりなどしない。
大丈夫だ、だからそんな顔をするな。」
tn「でも…っ…俺のせいで」
Aを、仲間を苦しませてしまった。
その事実は揺るがない。
gr「そうだとしてもだ。」
gr「お前のひとりのせいじゃない。
これは私の責任でもある。」
…彼はそう言い、深刻そうな顔をしたと思えば…
急に口を三日月型に歪め、目を細める。
gr「それにや！トン氏！」
あぁ、この顔はよく知っている。
彼が何か『面白いこと』を
思いついた時の顔だ。
長年一緒にいるから分かる。
…いつもそうだ。
あの邪悪な笑顔で戦況を翻すのだ。
危機的状況の時こそ、彼は最も愉しそうに笑う
gr「やられっぱなしは、
…【我々】らしくないだろう？」
tn「……っ……せやな」
目から溢れ出しそうな何かを押し込んで、
俺も顔をクシャクシャにして笑う。
…世間様や他所様はあんたの事を、『魔王』だの
『悪魔』だの『怪物』だの言いますけど、
俺はあんたのこと、英雄(ヒーロー)
だと思ってるで。

…ありがとう。