Dolce 【ヒプマイ短編集】

夢野幻太郎 ページ6

『先生、今日が締切りですけど？』
午前１０時。私は担当の夢野先生の自宅に着いた。インターホンを5回鳴らすと、出てきたのは寝間着姿の先生。

締切りは今日。


そして、終わっていないのなら寝ている場合じゃないハズなに…‼なんで能天気にスリーピーかましとんじゃわれえ。←

「あ…今日でしたっけ、…まだ時間あると思いまして、全然進んでないんですよ、あはは」

『ハァァァァッ?!一体、どれだけの迷惑がかかるとお思いですか?!出版社に編集長、校閲の人…』

「何、鵜呑みにしてるんですか、嘘ですよ。もう出来上がってます。」

と開き直って嘘までついてくる始末だ。これまでの私の労力を返せ。






「まぁ、立ち話もあれですし…中へどうぞ。」

『失礼します…』




というか、出来上がってるんだったら送ってくださいよ。私も仕事とはいえ、出版社からここまで、結構、交通費高いんですから。と言う思いをこの人にぶつけたい。



お茶とお茶菓子が準備されているということは、前々から私が来るって分かってたな、コイツ…。でもこうして、想いを寄せている相手と仕事で一緒になるのは、いいかも、しれない…。
はぁ、お茶おいし。


「巫さん」

『へい』

「何故、小生がお茶を用意していたか分かりますか？」

『はぁ、私が来るって分かっていたから？』

「ご名答。じゃあ、毎回、締切り日に原稿を取りに来させるのは？」

『？めんどくさいから？』

「…違いますね、」

刹那、彼の顔が目の前にあった。









──特別な想いを抱いているから…ですかね。


──嘘ですよ、はもう通じないですね。


先生、それって…

伊弉冉一二三→←碧棺左馬刻

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