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赤side
ブツッ、と舞の稽古の為流していた音源が大きな音を立てて切れた。
赤「え、あ〜！！」
その原因は派手に倒れたＣＤデッキの傍で 何事も無かったように毛繕いする子猫の姿。
赤「またお前かぁ…」
最近よく境内に現れる野良猫で、俺に懐いてしまったのか近くにいることが多くなった。
薄いオレンジかかった毛並みの茶トラで、母猫はどこにいるのか分からない。
人懐っこい性格で、スリスリ寄ってくるのも癒しではある。
赤「あ、こら。これはあかんで！」
さっきまで使っていた神楽鈴から伸びた五色絹にじゃれ始めた子猫をつまみ上げる。
初めてこの子猫と出会ったのも、鈴の音に釣られて(正確には猫じゃらしと間違えて)だった。
赤「…お前、淳太と一緒やな」
懐かしい名前を口にする。
淳太も 鈴の音に惹かれて境内に足を踏み入れた。
赤「淳太の代わりに来たんか？」
ミャーミャー愛らしく鳴く子猫を膝に乗せ、忘れたいあの夏のことが頭をよぎる。
会いたい、そう思っているのは自分だけで 子猫を淳太に例えるのはおかしい。
けれど、ずっと心に空いた寂しさが少し薄れたような気がして。
赤「なぁ、お前ここに住むか？」
声をかければ クリクリの瞳でじっとこちらを見つめてくる。
何を考えていたかは分からないが、膝の上から降りることなく むしろスヤスヤ眠ってしまった。
赤「人が話してんのに寝るんかい…」
賑やかさの無くなった神社の中で、小さな明かりが灯ったように 俺の心もじんわりと温かくなる。
赤「なぁ、ジュンタ。今日からお前はジュンタなぁ…」
もう会うこともないんやし、ちょっとくらい名前を借りるくらい許して欲しい。
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あーさん(プロフ) - 涙が止まりません。続き待ってます。 (2022年12月10日 13時) (
レス) @page16 id: 88927b7bb6 (このIDを非表示/違反報告)
すみっこ(プロフ) - 読ませて頂きました！すごく面白かったので続き気になります！更新待ってます！ (2022年4月4日 1時) (レス) @page10 id: bc8bfd9460 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ。 | 作成日時：2021年11月17日 14時
