◆Ｓｔｏｒｙ５８◇ ページ18
・
「『生きた死体』…………？」
エルヴィンは目を丸くして呆然としていた。
無理も無いだろう。急にそんな事を言われたら。
「本を見て見つけたの。
死体が歩くとか何とか。
確か、“ゾンビ”って名前だったと思う。
実の父はそれだったんだと思う。
それで、母との間に私が産まれて、遺伝で再生能力が
一般の人間よりも優れているんだと思う。
笑っちゃうよね……。
母は実の父をゾンビと知らずに行為に及んだんだから」
笑っちゃう話だ。だけど、私は笑えない。
逆に何故か涙が出てくる。
……胸が痛い。
「…………でも、例え君の父がゾンビだったとしても、
君は……メリルは違う」
…………え？
どうして……そう思うんだ？
「“死体”だったら、体は冷たいだろう？
七年前、メリルは暖かかったし、心臓も動いていたぞ？
単に、“再生能力が高い人間”何じゃ無いか？」
確かに、言われて見ればそうだ。
やっぱり……エルヴィンは、
ありのままの私を受け止めてくれる。
「エルヴィン、ありがとう」
自然と“ありがとう”の言葉が漏れた。
私を信じてくれたのが、自分が接してくれたのが
エルヴィンが初めてだから、嬉しいんだ。
でも……もう…………。
いや、最期に信頼出来る人間ができて私は嬉しかったよ。
「……明日、エレンの所属兵団を決める次に
君の生死を決める議会が行われる。
君が“知恵を持った巨人”になれない事を俺が証明する」
そんな事……どうやって説明するんだ？
もう、私はエルヴィン以外の人類に“知恵を持った巨人”
にしか見られていない。
だから、壁を壊したのは私って事になっている。
もう……どうにも出来ない…………。
「最後に一つ質問する。正直に答えてくれ。
……何処に傷を付けても再生するんだな？」
……？ エルヴィンは何を考えているんだ？
私に傷を作ったって、再生するから
余計に巨人って思われてるよ？
「……うん。私は再生能力が高いだけ。
何処でも再生するよ」
「…………ありがとう」
そう言うと、私とエルヴィンの会話は終わり、
エルヴィンは地下牢を出て行った。
……明日、何が起きるのかが心配だ。
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ホノボーノ - いい話を作ってくれてありがとうございます。 (2018年4月2日 13時) (
レス) id: d691122adb (このIDを非表示/違反報告)
霰餅おかゆ(プロフ) - ユウさん» エルヴィンは親しい人には一人称が俺になるんですよ 例えばリヴァイと喋っている時とか(^ ^) (2017年12月7日 23時) (レス) id: a9656f679f (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - エルヴィン俺って言ってる笑確か私って言ってました！ (2017年12月2日 19時) (レス) id: bf938c7e1e (このIDを非表示/違反報告)
カナタ - とても感動しました(泣)お時間がありましたらまた感動する話お願いします！ (2017年5月15日 17時) (レス) id: fa485ea027 (このIDを非表示/違反報告)
調査兵団幹部チーム愛し隊 - ヤヴァイです………感動しました。私涙腺めっちゃ脆いので涙ﾎﾞﾛﾎﾞﾛです……。°; д ;°)°。エルヴィンﾝﾝﾝﾝﾝﾝﾝ!!!(涙 (2016年9月16日 22時) (レス) id: 6c57361f2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霰粥 | 作者ホームページ：http://ulog.u.nosv.org/user/okayu0013
作成日時：2015年5月19日 20時
