◆57◆ ページ13
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ボーン、ボーン…と、遠くの鐘が午前0時を告げたのは
もう私が意識を手放す寸前の事だった。
触れるだけじゃ物足りなくなったカミヤマが
肌という肌を余すところなく舐め上げたせいで、
もう私の体はびしょ濡れ。
２人分の体温もため込んだおかげで
そのまま私自身、溶けて消えてしまいそう。
だというのに。
肝心の中心部は構ってもらえないまま。
こんなにも熱くなって待っているというのに
貴方は気の向くままに愛撫を繰り返すだけ。
これじゃああんまりにもかわいそうだ。
だからこのタイミングでの鐘の音は救世主のようでもあった。
力なくうなだれていた顔をあげ、
定まらない焦点でカミヤマを見る。
丁度彼も音に気付いて顔を上げたようで
そんな私の表情をちらと見ると
「もう限界？」
半笑いを混ぜながら首をかしげる。
太ももにかかる熱い息。
言葉を出すことさえもじれったくて、
とにかくうんうんと頷いた。
お願い、カミヤマ。
早く繋がって楽になってしまいたいの。
こんなじらされ方じゃ、生きている心地がしないもの…。
脚に置かれていた彼の手をぎゅっと握った。
これ以上おあずけしないで。
そんな願いを込めながらカミヤマを見つめる。
その思いが届いたのか、ただの気まぐれか、
どちらかは分からないけれど、
ようやくカミヤマは立ち上がってくれた。
それから“ご褒美”と言わんばかりにキス。
舐め続けて乾いた舌を潤すように私の水分を奪って
唇を離すと、ニヤリといつもの冷たい笑顔。
「ほんま、今のアンタはそそってしゃあないわ…」
引き寄せられ、耳元で囁かれ
「…愛してんで？A。」
初めて私の、私だけの、名前が呼ばれた。
それから先のことはよく覚えていない。
ただぼんやりと頭の隅に
彼のうっとりするような肉体と、
背もたれの生地の感触と、
人間の本能の匂いと、
そんなものが断片的に残っているだけ。
…でも、それでいいんだ、
これで私とカミヤマは１つになれた。
やっとカミヤマに愛してもらうことが出来た。
その事実さえあれば、もう私は。
そう、例えこのまま死んでしまったとしても幸せだった。
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煌(Huang) - 初めて読みました。一気に0 から読んでしまえるほどとてもとても引き込まれました。面白かったです。楽しい作品をありがとうございました。おからさんの文体読みやすくて情景も思い浮かびやすく好きです。稚拙な感想で申し訳ありません (2017年5月30日 19時) (
レス) id: de774e9220 (このIDを非表示/違反報告)
ちーずけーき(プロフ) - 戻ってきてくれて嬉しいよ(；_；) これからも応援してます！ (2017年5月14日 12時) (レス) id: 01651542b7 (このIDを非表示/違反報告)
Ciel - おからさん、大学、おめでとうございます！そして、戻ってきてくださって本当に嬉しいです！喜びがとまらない...ジッケンダイの神ちゃんを、楽しみに待ってます！ (2017年5月6日 13時) (レス) id: 76e31cf07e (このIDを非表示/違反報告)
なーり(プロフ) - この作品大好きです！ (2017年4月23日 11時) (レス) id: 0352dc77ac (このIDを非表示/違反報告)
レモナ(プロフ) - またジッケンダイ見られるようになるのを楽しみに、私も受験勉強に励みたいと思います。頑張ってください！ (2016年10月1日 21時) (レス) id: 605c165085 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おから
x他1人 | 作成日時：2016年6月26日 15時
