となりのわんこ2 □Kazunari.N■ (ページ5)

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□35話■ ページ5

□Aside■

夏の夜の街を2人で並んで歩いてる最中

履き慣れていない下駄の、カランカランという音が鳴り響いている。

ちらっと隣を見ると

無言で前を見ながら歩く二宮さん。

グレーのストライプの浴衣と、隙間から見える鎖骨が

なんともいえぬ大人の色気を漂わせている。

変だな、二宮さんの中身は一緒なのに

少しドキドキしてるなんて。

和也「何？」

盗み見しているつもりだったのに、二宮さんにはバレバレだったようで

そう声をかけられて、別にー？と顔を晒す。

そのまま二人の間には沈黙が流れる。

なんだか、今日の二宮さんは全然喋ってくれない。

いつもより無口だし、なんか怒ってるのかな？

そのうち会場が近づいてきて

あっという間にあたりは屋台でいっぱいになった。

屋台なんて…いつ以来だろう…!!

隣の二宮さんのことなんてお構いなしに

露骨にテンションが上がっていくのがわかった。

A「二宮さん二宮さん！何食べます？」

和也「貴方はしゃぎすぎ(笑)」

A「だっていっぱいありますよ！」

和也「ちょっと、そんなはしゃいでたら危な…」

A「わっ」

その時、ちゃんと周りを見ていなかったあたしは

何かにぶつかってバランスを崩した。

倒れる…！

そう目をつぶった次の瞬間

…トサッ

グイッと腕を引っ張られて暖かいものによって包まれた。

そっと目を開けて顔を上げると

和也「ほら、言わんこっちゃない」

そこには、ドアップの呆れた顔した二宮さん。

恥ずかしさから、すぐさま顔を下に向ける。

ち、近い…

A「あ、ありがとうございます…もう平気です…」

和也「ダメ」

しかも、開放してくれない…

あたしの心臓がバクバクと波打つ。

和也「やっぱ、リード持ってくるべきだったか…」

A「なっ！浴衣にリードってアンバランスすぎですよ!!」←混乱中

和也「そっち!?(笑)もうはしゃがない？」

A「はい…」

和也「…信用ならないなぁ」

やっとあたしを解放してくれた二宮さんを改めて見上げると、いつもの顔に戻っていて

彼はクスって笑って手を差し出し、こう言った。

和也「ほら。はぐれんなよ？」

そう差し出された手に、またドキッとする。

変だな。

あたし今日、二宮さんにドキドキしっぱなしだ。

戸惑いながらその手をとったら

二宮さんはまた笑って、あたしの手を引いて歩き始めた。