□55話■ ページ25
□Aside■
大学の授業が終わったある日
今日向かう先は自分の家じゃなくて、
御無沙汰してる、あの場所。
久しぶりで迷わないか心配だったけど
無事にたどり着いて、ドアを開ける。
大将「いらっしゃーい！」
A「こんにちはー…」
今日もいい人オーラ全開の大将は
私の姿を見て、あっと言った。
大将「お嬢ちゃん、カズの！」
A「え、覚えてて下さったんですか？」
大将「そりゃ覚えてるよ〜」
A「嬉しいです…！」
大将「そこ空いてるから、座って」
カウンター席に誘導され
座ってお水とおしぼりをもらう。
お店を見渡してみたけど
二宮さんの姿は見当たらない。
大将「ごめんな〜今日カズいねーんだわ」
A「いえ！今日は大将に用事があって」
大将「え、俺？」
A「これ、いつもご飯いただいてるので…」
この前買ったお菓子セットを渡すと
大将は、そんないいのに〜！って言いながら受け取ってくれた。
大将嬉しそう。
喜んでもらえて、よかった。
そんな事を考えていると、
大将がサービス！と言いながら唐揚げを出してくれた。
A「あ、そういえばこの前、教えていただいた煮物作ってみました！」
大将「おっ！どうだった？」
A「うーん、二宮さんにも食べてもらったんですけど
大将の方が美味しいって、はっきり言われました(笑)」
大将「なんだよあいつ〜嫌な奴だな〜！」
そう言いながら大将は
ガハガハと豪快に笑った。
大将の笑顔見てると、こっちまで笑顔になるなぁ…
本当に、素敵な人。
大将「てか、お前ら付き合ってねぇんだろ？」
A「？はい」
大将「そんだけ一緒にいて好きになんねぇの？」
そう言われて、思わず言葉に詰まってしまう。
あたしは最近まで兄のことが好きで…
なんて、普通に言えないし。
二宮さんには…
大将「え？何？なんかあんのか？」
A「…実は…」
言っていいのかわかんなかったけど
大将の人柄は、隠し事をさせない何かを持っていて
思わず告白された事を言ってしまった。
大将「うぇええ！？マジか！！」
A「言った事秘密にしてくださいね…」
大将「そっかぁ…よかった」
大将は、何故か嬉しそうな顔をしていて
あたしはそれを不思議に思いながら見ていた。
そして、大将は
大将「カズのこと、よろしくな」
と、それだけ、言った。
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作者名：爽歌。
| 作成日時：2017年5月9日 16時
