□42話■ ページ12
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奴が来た日の次の日は
日曜日だった。
和也「…うわ、もう朝か」
昨日は結局寝付けなくて
ゲームをやろうとスイッチを入れて熱中していたら
カーテンの隙間から差し込む日差しで
朝になったことを知った。
昨日の、俺の前を通り過ぎるわんこが
ふいに脳裏に浮かんだ。
和也「…」
俺以外の奴が、あいつの部屋に入ったなんて
すっげーイライラする。
しかも、わんこはあの男を見つけた時
名前で呼んだ。
俺でさえ、名前で呼ばれたことないのに。
和也「やべ、寝不足で余計イライラする…」
あいつが来るまで寝よう。
そう思って、その場に寝っ転がって
次に目が覚めたのは、夕方の4時だった。
和也「んっ…」
まだボヤける視界の中に
座ってるわんこの背中が見えてきた。
その背中に、のしっと寄りかかる。
A「起きました？」
和也「んー…はよ」
A「もう夕方ですけどね(笑)」
和也「腹減った…」
A「欲望のまんまか(笑)なんか食べます？」
和也「ちょっと」
それまでは特に変わった様子はなかったけど
パンを手に帰ってきたわんこに、異変を見つけた。
はいっと渡された手を掴んで
そのまま逃げられないようにする。
A「な…なに」
和也「泣いた？」
A「…っ！」
俺の言葉を聞くと、もう片方の手で
自分の両目をバッと隠した。
和也「なんかされたの？あいつに」
A「…いえ」
やっぱり言ってくれないのか。
俺はまだ、そんな存在になれてないのか。
そんな俺の気持ちに気づいたのか
わんこは目の前に座って顔を伏せた。
A「違うんです！二宮さんが信用できないとか、そーいうんじゃなくて」
和也「いいよ、別に」
A「違くて、そうじゃなくて…」
わんこは下を向いたまま、言葉を詰まらせて
A「…軽蔑されたくない…」
って。
それを見て、俺がわんこに打ち明けた日の事をを思い出した。
あぁ、そうか、そうだった。
なんだか少しおかしくって、ふっと笑みがこぼれた。
和也「…嫌いになんて、ならない」
A「えっ…」
和也「お前が言ってくれた言葉だよ」
A「二宮さん…」
和也「俺だって、そう思ってる」
その俺の言葉を聞いたわんこは
覚悟を決めたようで
ふーっと息を吐くと
わんこの過去の話を、ポツリポツリと喋り始めた。
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作者名：爽歌。
| 作成日時：2017年5月9日 16時
