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「今更やで。俺何年望の世話焼いてると思っとんねん。気にせんでええわ、そんなん」
望の言葉に眉下げて笑えば、わしゃわしゃと、髪を撫でる。
「確かにそうかもしれへんな」
俺の言葉を聞いた望はやっと少し頬に赤みを取り戻して、小さな笑顔を見せてくれた。
「…はぁ、なんか、ちょっとスッキリしたかもしれへん」
「お、ほんま?よかったやん」
「照史が居てくれたからかもしれへんな」
そう言って悪戯な笑みを浮かべていつものじゃれ合いのごとく俺に抱き着いてきた望に、俺は笑い声を上げた。
「やけに素直やなぁ。…ってか、酒臭っ!望酒臭いわ、風呂入っといでよ」
「え、いや、悪いやん。帰るわ」
「えーから。この時間やし、今夜はもう泊まっていき。明日も仕事やろ」
「…なら、お言葉に甘えて…」
俺の提案に素直に頷けば、望はそのまま俺に抱き着いた状態で、そう呟き、「お風呂、借りるわ」と、起き上がった。
「俺の服、まあ…ちょっとサイズ合わへんやろうけど、貸すわ。タオルは洗面所あるから好きに使ってええよ」
「照史の服かぁ、俺の服の倍くらいありそうやな」
「いやそんなにないわ!」
だいぶいつもの調子に戻って来たな。
俺はツッコミしつつもそれに安心し、部屋着を取り出して、望に渡した。
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作者名:じゅんくる | 作成日時:2020年8月28日 21時