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☆3 ページ3
「そうなん？…そうなんかぁ」
望は小さく呟けば、カラになったグラスに残った水滴を指先で弄ぶ。
「…そろそろ、帰ろうか」
そして、そう呟いた。
「もうええの？」
「うん？」
俺の問い掛けに、望は大きい瞳を俺に向ける。
「いや…話したいことある、て」
「あ…ああ、大丈夫、大したことやないし、もう落ち着いたから」
「そっ…か」
今日、飲みに行こうと俺を誘ったのは望の方だった。
仕事を終えて帰ろうとしてた俺の腕を掴んで引き止めた望が、話したいことがある、と、やけに神妙な顔で言うもんやから、こうしてサシで飲みにしたんやけど。
ほんまに大丈夫やで、と笑う望に、俺は少しだけ後ろ髪を引かれつつ、それ以上詮索も出来ずに、別れた。
この時もし俺が、ちゃんと向き合ってたら、何か、変わってた？
今が、違ってたんやろか。
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作者名：じゅんくる
| 作成日時：2020年8月28日 21時
