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Ren
遠くで聞こえる誰かの叫び声。
後少しで渡り切るってタイミングで急に後輪の方に物凄い衝撃がして、
一気に景色が変わって、事故ったんだって何となく理解したら襲ってくる、
強烈な足の痛み。
今までの怪我とは比べ物にならない位の、思いっ切り引きちぎられるみたいな感覚。
あまりの痛みに加えて、段々頭がぼーっとしてきて、周りの声が遠くなって、
次に起きたらもう病院のベッドの上。
右足は、もう無くなってた。
病院に来た時には殆ど繋がって無かったし、大量出血で危険な状態だったから、
生きる為には切るしか無かった。
医者にはそう言われたけど、受け入れられる訳無かった。
この先ずっと、片足で生きていかなきゃいけない。
サッカーで日本代表になる夢も、諦めなきゃいけない。
何よりも大好きで、絶対プロになりたくて、毎日本気で頑張ってたのに。
リハビリすれば義足で歩けるようになるし、日常生活にはちゃんと戻れるよって言われたけど、
そういう問題じゃない。
大げさかもしれないけど、サッカー選手になる為に生きてた位だったから、
もう全部人生が終わっちゃったみたいな気持ちで、
こんなこと思っちゃダメって分かってるけど、
いっそあのまま死なせてくれれば良かったのにとすら思ってしまった。
.
兄ちゃん達が来てくれてるのは知ってたけど、誰にも会いたくなくて。
でも一人になっても絶望感しか無くて、どうしたらいいのか分んないまま。
ただただ足を見て苦しくなる毎日。
体は良くなってるからって、言われるがまま転院してきてリハビリも始まったけど、
元に戻れないって分かってるのにやる意味あんのかなって。
そんな状態でただこなすだけみたいになってる時に、
会いたくないって言ってるのに入って来た辰哉兄ちゃん。
翔太君に会ってあげてって。
ほんとは外行きたくないけど、安心したら元気になるかもって言うから、
翔太君のことは心配だし、初めてリハビリ以外で病室の外に。
周りの人に見られることは今はストレスでしかないけど、翔太君に会う為には仕方ないから。
気にしないって言い聞かせて、病室まで頑張った。
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作者名:りる | 作成日時:2021年7月11日 19時