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Ryota
医者だって神様じゃないから、全員は助けられない。
それは分かってはいるけれど、
今まで一杯一杯一緒に頑張ってきた翔太。
なんとか助けたくて必死に手を尽くした。
涼「ショックもう一回いくよ!チャージして!!」
康「先生…もう……」
照「良いから早く!アドレナリンも追加!!急げ!!」
翔太の心臓に何度も電気ショックを与えて蘇生を試みて、
脳に血液が回る様に照が骨が折れる程の心臓マッサージ。
心臓を動かす薬も使えるだけ投与した。
照「翔太起きろ!心臓動かせ!死ぬな!」
涼「翔太頑張れ……頑張って……動いて………」
でもそんな壮絶な蘇生処置の末、
翔太の心臓は完全に停止。
康「先生、2時間経ちました………」
懸命な処置も虚しく、
急変から一度も心拍が再開しないまま、
翔太は処置台の上で息を引き取った。
急な重い不整脈による心停止。
リスクは常にあったけど、ここまで急なのは予期できなかったし、
たまたま病室にいた照が迅速に蘇生処置をしたから、処置が遅れた訳でもない。
それでも、翔太を助けてあげることは出来なかった。
照「何でっ今……もう少しだったのに………」
体力回復を待っての手術、一番良い時だと思ってたけど、
後一週間早かったら翔太は助かっていたのかもしれない。
そんなことまでつい考えてしまうけれど、
医者がずっと立ち止まって引き摺る訳にはいかないから。
亮平のとこにも行かないとって、すっかり夜になってからだったけど向かって、
翔太のこともちゃんと伝えた。
亡くなったこと、最期まで本当に頑張ったこと。
翔太は何度も平坦になりかけた波形を微かに震わせて、
必死に生きようとしてたから。
涼「本当に頑張った。翔太一杯頑張ったからね。」
ただ高校生で入院して手術って不安ばっかりの時に、
同室の子を目の前で亡くした恐怖なんて、到底俺達には計り知れないもの。
呆然としていた亮平は俺を見ていたのか、その先の空のベッドを見つめていたのか分からなかったけど、
阿「俺も……翔太みたいになる?」
静かに呟いたその声は震えていた。
でもそんなことないよって、この時の俺は言ってあげられなかった。
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作者名：りる | 作成日時：2022年11月27日 21時
