dear for you. (ページ6)

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Ryota

翔「ねぇ涼太ぁ～外行きたい!めっちゃ暇……」

涼「涼太じゃない、先生でしょ。昨日発作起きてんだから無理だって。安静にしてて。」

夜中の医局で一人。翔太との写真を見返していると、

全部蘇って来る何気ない話し。

涼「あっそう言えば来週から入院してくるよ、同い年の高校生の男の子。翔太の隣のベッドに。」

翔「えっ!マジ!?やった最高じゃん!!マジ楽しみ。」

思い出したのは亮平が入院してくる少し前。

翔太が小児科を卒業して大人と同じ病棟に移ってきてから同世代の子が来ることは無くて、

二人部屋だったけど隣のベッドは常に空っぽ。

長く入院して同じ病気の子も何人も見送って、ここはおじいちゃんおばあちゃんしかいない病棟。

翔太は、いつも一人だった。

だから亮平が来るのすごくすごく楽しみにしていたし、

体は苦しかったかもしれないけど、案内しに色んなとこ連れてって友達が出来たって生き生きしていた。

ずっと一人で病気と闘って、いつもどこか不安そうで、

夜中に病室で毛布被って泣いてる日もあった翔太が、よく笑う様になった。

俺も照も、それが嬉しかったんだ。

だから翔太が病室で鼓動を止めるその最期まで、亮平が隣にいてくれたこと、

その時一人ぼっちじゃなかったことだけが、唯一の救い。

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涼「同じ病気でも、翔太と亮平とでは病状も手術の内容も全然違う。

すごく怖いだろうけど、先生達は手術して元気になって欲しいと思ってる。今ならきっと治せるから。」

翌日、少し頭を整理して、

術前面談で亮平に話せたことは嘘なんかじゃない。

翔太の分、なんてことは言えないし言わないけど、

まだ亮平が翔太の所にいくのは早すぎるから。

涼「翔太はずっと入院してて高校も行ったこと無かった。

亮平から一杯話聞いて、手術して退院したら俺も行くんだってすごく楽しみにしてたんだ。」

たくさん楽しい外の世界の話を聞いて、

手術が無事に終わって退院する日を待ちわびていた翔太。

その未来を叶えてあげることは出来なかった俺達だけど、

だからこそ亮平には、翔太が生きたかった未来を生きてて欲しいと思ってしまう。

涼「翔太と、友達になってくれてありがとう。」

涙をぐっと堪えて頷いた亮平は、

俯いたまま、静かに手術の同意書にサインをしてくれた。