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Tatsuya
辰「ただいま〜」
翔太を連れて帰って来た家はいつもより賑やかで、
康「しょった君!こーじ待ってた!!」
蓮「しょーにぃに?おうち?」
翔「ふはっ、ただいま。蓮翔太お家だよ。」
大好きな翔太の帰りを待ちわびていた康二と、まだよく分かって無さそうな蓮のちび二人。
翔太が病気になった頃、二人は小学生なりたてと保育園だったから離れていた時間がかなり長くて、
蓮にとっては多分、家にいるのが不思議な位なんだよね。
治療の関係で外泊も出来ずに、翔太ずっと入院して頑張ってたから。
辰「涼太は?上?」
大「多分部屋、声かけたんだけどね。」
翔太を移動で疲れてんだからって適当に言いくるめて新しく買ったリクライニングベッドで休ませて、
その間に上の階の双子の部屋に涼太を迎えに。
辰「涼太、翔太帰って来たよ。もうずっと家いるから。」
涼「うん……後で行く。」
辰「今行こうよ。翔太も会いたがってるよ、、、」
俺の言葉に少し俯いて、くるっと背中を向けた涼太。
双子の翔太と涼太は病気になる前は学校でも家でももうずっと一緒にいた相方で、
入院中も調子の良い時はテレビ電話してたりした。
翔太が副作用で辛そうな時期も、涼太は知ってんだよね。
だからもう、俺が翔太が家に帰ってくるって言った時から浮かない顔をしていた涼太は、
俺達がついた嘘も翔太のことも多分全部分かってる。
大事な片割れのことだし、もうすぐ高校生だもんね。
そういうのもきっと、全部分かる年だもんね。
でも俺の口からはそんなことはどうしても言えなくて、
辰「翔太本当に病気治ったんだって。一杯一杯頑張って悪いの全部やっつけたの。元気になったから、、、」
涼太に何か言われる前に、嘘を重ねる自分がいる。
辰「まだ帰ってきてすぐで疲れちゃうから、訪問看護の先生来たり寝たり熱出ちゃう日もあるかもしれないけど……
でも病気は全部治ってる。ここからはきっと良くなってくだけだから。」
焦ってべらべら聞かれてないことまで話して嘘つきまくってる俺が、涼太にどう見えてたかは分からないけど、
もう話してることは全部俺がそう思いたいことだけ。
一番現実から目を背けてるのも俺だって分かってるけど、
でも涼太にも翔太にも本当は大介にも、弟達皆にお別れなんてこと考えて欲しくなかったんだ。
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作者名:りる | 作成日時:2022年11月27日 21時